Home, Sweet Home

 

原作では、おじいさんとハイジは、教会を訪れますが、その日、おじいさんとハイジに気をとられた会衆が賛美歌の調子を外してしまって、歌のリーダー(ドイツ語原文 Vorsänger)は、ととのえるのに苦労したと書かれています。

原作には、オルガンのことは書かれていません。書かれていないだけで「ない」ということにはならないかも知れないけれど、オルガン奏者の代わりに歌の合図をする役割の人がいたというようには読めないでしょうか。

合唱は、教会でも演奏会でもア・カペラ(無伴奏)で歌われることがあります。オルガンによる伴奏はあるといいものですが、なければないで温か味のある合唱になるのではと思います。

(ア・カペラ自体、「礼拝堂風に」という意味だそうですが…。)

 

素朴と言えば、おじいさんの山小屋。

イギリスの歌ですが、H.R.Bishop (1786-1855)作曲の「Home, Sweet Home」という歌があります。(映画「火垂るの墓」のラストに流れていました。) 原詞は、アメリカ人、J.H.Payne (1791-1852) によるもの。

「埴生の宿も我が宿〜 」と歌われる日本語の歌詞は、里見義(さとみ ただし)氏によるもので、明治時代から歌われているそうです。(ここでは、埴生(はにゅう)は、「埴生の小屋(土の上にむしろを敷いて寝るような粗末な小屋。また、赤土を塗ってつくった小屋ともいう…)の略」。宿(やど)は、「家」だということです。(大辞泉))

Home, Sweet Home

'Mid pleasures and palaces though we may roam,
Be it ever so humble, There's no place like home.
A charm from the skies seems to hallow us there,
Which seek thro' the world, is ne'er met with elsewhere.
Home! home! sweet sweet home;
There's no place like home,
There's no place like home!

An exile from home splendor, dazzles in vain;
Oh! give me my lowly thatched cottage again;
The birds singing gaily, that came at my call:
Give me them with the Peace of mind, dearer than all.
Home, home. sweet, sweet, home!
There's no place like home,
There's no place like home.

楽しみながら、素晴らしい家々を訪れ、旅して歩くこともあろう。しかし、たとえ粗末な家でも、我が家ほどの場所は他にない。空の美しさが我が家では心を清めてくれる。世界中で捜し求めたもの、それはけっしてどこか他の場所で出会えるものではないのだ。我が家、我が家よ、温かい我が家よ、我が家ほどの場所はない。我が家ほどの場所はない!

我が家から離れ、華やかなものに目が眩んでしまった。虚しいだけだった。ああ、もう一度みすぼらしいわらぶきの田舎家を私にお与えください。鳥は楽しげに歌い、私が呼べば来てくれた。それらを私にお与えください。何物にもまさる貴い心の安らぎと共に! 我が家、我が家よ、温かい我が家よ! 我が家ほどの場所はない。ああ、我が家ほどの場所はない。

<引用図書・参考サイト> 世界の名歌集2(音楽之友社/石多正男訳)
日本キリスト教団 富士見丘教会讃美歌 第2編147番


山小屋は、デーテに連れられてフランクフルトのゼーゼマン家の立派な屋敷に住むことになったハイジが、どうしても帰りたかった場所です。おじいさんは、趣味で山小屋に住み始めたわけではありませんが、単に、住めば都というだけではなく、山小屋暮らしには、山小屋暮らしのよさがあっただろうと思います。

後に、ハイジは、クララに言っています。

「ね、わかったでしょ? わたしがいったとおりでしょ?」「アルムのおじいちゃんとこが世界じゅうでいちばんいいって、いったでしょ!」

<引用図書> 岩波少年文庫ハイジ下

 

礼拝の後、牧師さんと村人は、おじいさんとハイジを温かく迎え入れました。牧師さんのところに現れたおじいさんを見るや、何も聞かずに受け入れた村人たち。原作のおじいさんは、村人の期待に応え、村に解けこんで行きます。おじいさんは、もともと村人とうまくやろうと思って、遠い親戚でも親戚のいるデルフリを訪れたのでしょう。ハイジだけが、どんなときも、おじいさんへの信頼を持ち続けていたのでしょう。

おじいさんとハイジは、デルフリに降りるようになっても、雪のない季節は、山小屋で暮らしました。

 

♪ このページに流れているのは、ビショップ作曲、「埴生の宿」です。

素材 Night on the Planet MIDI みんなにないしょ

2007.11.16. up
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