Pastoral
 

 
 

 
ピアノを習い始めた人が、バイエル教則本の次に手掛ける、「ブルグミュラー 25のやさしい練習曲」があります。本のタイトルの通り、ブルグミュラーという人の作曲です。その第3番が「牧歌」。フランス語で、Pastorale、英語では、pastoral。ブルグミュラーは、1806年、ドイツに生まれましたが、フランスで活動したので、曲のタイトルはフランス語になっています。
 
クラシック音楽全般では、タイトルが牧歌またはパストラルのものや、それ風に作曲されたものを合わせると、結構あるかも知れません。(例えば、ベートーヴェンの田園交響曲<第6番>の田園は、ドイツ語で、Pastorale だそうですね。) 「牧歌」の意味ですが、大辞泉では、1.牧童などのうたう歌。2.牧人や農民などの生活を主題とした詩歌。田園詩。パストラル。になっていました。
 

 
原作で、アルムにやって来たクララは、牧童のたのしそうなさけび声を聴いています。ペーターのことのようにほのめかされている訳もありますが、他の牧童だということも考えられます。ヨーデルの原型は、さけびに近いものらしいので、もしかするとヨーデルなのでしょう。スピリの別の作品の主人公、山羊飼いのモニは、角笛を吹き、歌っていました。
 
また、医師のクラッセン先生とハイジが、ペーターや山羊たちと一緒に牧場に登ったとき、ハイジが案内したお気に入りの場所は、飛び切り美しい場所でした。麓の牧場からは、家畜の鈴の音が聞こえ、平和そのものですよと言っているようだったということです。
 
「牧歌」は、平和。ある意味、孤独で、ある意味、貴重な静かさでしょう。
 

 

楽譜←は、「ブルグミュラー 25のやさしい練習曲」(音楽之友社)の「牧歌」の最初の部分です。このページに流れているのは全曲です。前奏2小節は、右手だけで弾くことになっています。dolce cantabile ドルチェ、カンタービレ、柔らかく、歌うように弾きましょうという指示があります。前奏も、次に続く旋律も、とても素朴です。付点4分音符=66の適度に動きのある速さで、澄んだ空気、暖かな太陽、平和な情景を想像して、のびのびと弾きたいと思います。左手の和音は軽やかに。

 

 
山羊飼い、モニの歌です。「牧歌」です。
 
お山の上のもみの木で、鳥のコーラスが始まった。
しばらく雨がふったから もうじきお日さまのぞくだろう。
 
昼のお日さま、夜の星、おまけに、夜のお月さま、
それは神さま、ぼくたちを、喜ばせようとつくられた。
 
春には、お花がまっさかり、黄色い花や、赤い花、
そうしてお空はまっさおだ、ぼくはほんとに楽しいな。
 
それから、夏になるいちご、あたり年には、うんとなる、
赤いの、黒いの、よりどりだ。ぼくは茎から食べちまう。
 
またも、しげみになるくるみ、どうして、なるか知っている、
やぎがうまそに食べるころ、やっぱり草もおいしいさ。
 
冬じゅうぼくはたのしいな、泣いたところでぜひもない、
冬のつぎには春がくる、いつでもつづいてやってくる。
 
<引用図書> 世界少年少女文学全集16 ひつじ飼いの少年<モニー>(河出書房新社/ヨハンナ・シュピリ/植田敏郎訳) …この本ではタイトルが、ひつじ飼いになっていますが、モニはやぎ飼いです。「牧歌」いろいろ・・。
 
 
 
 
素材 Gingham mattarihonpo MIDI
 
2007.11.12. up
2007. 3. 2. up