Only One

 

フランクフルトの「教会の塔」から見た風景に、がっかりしたハイジ。その塔には、ねずみがたくさん住んでいたということです。宗教色の濃い作品だけに、何か、象徴的なものが感じられそうな気もします。もしかすると、スピリにとっては、教会の建物の大きさよりも、人の心の中に起こる出来事が大切だったりするってことでしょうか? この作品は確かに、心に起こる変化を描いています。自然が豊富な環境でこそ、いいことが起こることも。でも同時に、都会のいいところも挙げているように思います。

 

ある意味、不便で危険な自然に価値があるように、人の弱さにも価値があるという発想があるそうです。ハイジは、明るくて元気な子ですが、孤児だったり、夢遊病を受け継いでいたりと、弱い存在です。作品中、ハイジの場合は、自ら心の痛みを知っているからこそ、人と痛みを分かち合うことができているのだろうと、私は思います。

向上心は、人の自然な持ち物なのだろうと思います。でも、それと同じくらい、弱さをも含めた「ありのまま」でいられる権利もあるような気がします。

小さい花や大きな花
一つとして同じものはないから
1にならなくてもいい
もともと特別なOnly one

<引用サイト> Uta-Net (槇原敬之 作詞 「世界に一つだけの花」より)

 

戦後の東京に、「アリの街のマリア」と言われた、北原怜子(さとこ)さんという女性がいたそうです。裕福な家に生まれながら、貧しい人々とともに生きることを選んだ人ですが、若くして結核で倒れてもなお、前向きな生き方で、人々に希望を与え続けたと伝えられているそうです。 

いるだけで、人を勇気づけてしまうことがあるそうです。もしかしたら、ハイジにとってのペーターのおばあさんのように。スピリの作品名ですが、「だれでも人を助けることができないほど小さくはない」のでしょう。(このアイデアの奥には、イエス・キリストが控えていたりするのかな・・・。)

 

素材 mattarihonpo

MIDI

2007.12.12. up
2007.11.17. up
2007. 1.27. up