ユキとアトリ
 
 
 
 
 山羊飼いペーターが世話をしている村の子山羊ユキ。
 
 ハイジは、初めて山の牧場に行った日、たくさんの山羊の鳴き声に混じって、悲しそうな声で鳴いていたユキの鳴き声を聞き逃しませんでした。ペーターに訊くと、母山羊が一昨日売られたところだとのこと。
 
 ユキには、おばあさんはいる? おじいさんはいる? と訊くハイジ。
 
 ハイジには、優しいおじいさんがいるのでした。
ユキには、どちらもいないと知ると、自分がいるから寂しがらなくていいよと声をかけます。
 
 抱き寄せてもらうことで、ユキは安心した表情になりました。
ハイジは、その日のお別れのとき、自分がいるから寂しがらないように、念を押しました。
 
 フランクフルトでも、自分がいないとユキが鳴いているのではと気にしていました。
 
 ユキは、後にクララとひとときを過ごします。数年経ってもユキは子山羊でした。どうしたんでしょうか? 大きな山羊に力で敵わず、追いまわされることがよくあったユキにとって、クララと一緒にいて守られていることは、ほんとうに幸せなことでした。クララから草をもらいました。ユキの安心しきった表情を見ているうちに、クララに、新しい希望が湧いて来ました。
 
 クララには、自分とユキが重なって見えたのかも知れません。しかし今は、ひとときユキを守ることができたのです。クララにとって何でもないことでも、ユキには助かりました。人との関わりの中でも何かできるはずなのでした。
 
 
 アトリも、村の山羊。
 
 ハイジが初めて山の牧場に行った日、山の牧場で、危ないところに行こうとしたアトリをペーターとハイジが助けました。
 
 ハイジは、優しく声をかけながら、いい匂いのする草でアトリを誘導しました。
 
 「ほうら、アトリ、おりこうさんにしなさいね。見てごらんよ、ここから落っこちたら、足が折れちゃうわよ。そしたら、いたいいたいねぇ。」
(講談社 アルプスの少女より引用)
 
 ハイジのこの方法は項を奏し、アトリを連れ戻すことができました。
 
 ペーターは、おしおきにアトリを鞭で打とうとするのですが、ハイジは、チーズとパンを交換に止めました。他のヤギも打っちゃいやよと言いました。
 
 やはり、フランクフルトで、自分がいないとペーターがアトリを打っていないか気にしていたハイジでした。
 
 
 
 
 
MIDI Adagio