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目的・適用指針 結論の背景 設例 目次

企業会計基準適用指針第25号

退職給付に関する会計基準の適用指針

平成11年9月14日

日本公認会計士協会

会計制度委員会

改正平成24年5月17日

企業会計基準委員会

目次

目的

適用指針

範囲

用語の定義

確定給付制度の会計処理

退職給付債務及び勤務費用

退職給付見込額の見積り

退職給付見込額の期間帰属

退職給付債務の計算

勤務費用の計算

利息費用の計算

年金資産

年金資産の範囲

退職給付信託

年金資産の評価

期待運用収益の計算

数理計算において用いる計算基礎

複数の退職給付制度における計算基礎

割引率

長期期待運用収益率

その他の計算基礎

計算基礎に重要な変動が生じているかどうかの判定方法

未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の会計処理

数理計算上の差異

数理計算上の差異の内容

数理計算上の差異の費用処理方法

過去勤務費用

過去勤務費用の内容

過去勤務費用の費用処理方法

年金資産の返還に伴う会計処理

代行返上があった場合の会計処理

小規模企業等における簡便法

確定給付制度の開示

注記事項

複数事業主制度の会計処理及び開示

適用時期等

議決

 


目 的

1. 企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」(以下「会計基準」という。)が平成24年5月17日に公表されている。本適用指針は、当該会計基準を適用する際の指針を定めるものである。

適用指針

範囲

2. 本適用指針を適用する範囲は、会計基準における範囲と同様とする。

なお、厚生年金基金制度及び確定給付企業年金制度に含まれる役員部分は、会計基準の適用対象となる。その計算にあたって、従業員部分と合わせることができる。

用語の定義

3. 本適用指針における用語の定義は、会計基準と同様とする。

確定給付制度の会計処理

退職給付債務及び勤務費用

4. 会計基準第16項から第19項に定める退職給付債務の計算には、次を含む([設例1]の表1-1 及び表1-3)。

(1) 退職により見込まれる退職給付の総額(以下「退職給付見込額」という。)の見積り(第7項及び第8項参照)

(2) 退職給付見込額のうち期末までに発生していると認められる額の計算(第11項から第13項参照)

(3) 退職給付債務の計算(第14項参照)

(退職給付債務の計算における計算単位、グルーピング)

5. 退職給付債務は、原則として個々の従業員ごとに計算する([設例1]の表1-1 及び表1-3)。

ただし、会計基準(注3)の「合理的な計算方法」を用いることもできる。この場合の合理的な計算方法とは、従業員を年齢、勤務年数、残存勤務期間及び職系(人事コース)等によりグルーピングし、当該グループの標準的な数値を用いて計算する方法であり、個々の従業員ごとに計算した場合と退職給付債務額に重要な差異がないと想定される場合に認められるものとする。

当該グループの「標準的な数値」は、実績等に基づき合理的に設定する。

年数によりグルーピングを行う場合はおおむね1年を基準とする。

(貸借対照表日前のデータの利用)

6. 貸借対照表日における退職給付債務は、原則として貸借対照表日現在のデータ(給与データや人事データ等)及び計算基礎(以下「データ等」という。)を用いて計算する。

ただし、次のような方法により、貸借対照表日前のデータ等を用いて、退職給付債務を計算することができる。

(1) 貸借対照表日前の一定日をデータ等の基準日として退職給付債務等を算定し、データ等の基準日から貸借対照表日までの期間の勤務費用等を適切に調整して貸借対照表日現在の退職給付債務等を算定する方法

(2) データ等の基準日を貸借対照表日前の一定日とするが、当該一定日から貸借対照表日までの期間の退職者等の異動データを用いてデータ等を補正し、貸借対照表日における退職給付債務等を算定する方法

いずれの場合にも、データ等の基準日から貸借対照表日までに重要なデータ等の変更があったときは退職給付債務等を再度計算し、合理的な調整を行う(第72項参照)。

退職給付見込額の見積り

7. 会計基準第18項の退職給付見込額は、予想退職時期ごとに、従業員に支給されると見込まれる退職給付額に退職率(第26項参照)及び死亡率(第27項参照)を加味して見積る。

退職給付見込額の計算において、退職事由(自己都合退職、会社都合退職等)や支給方法(一時金、年金)により給付率が異なる場合には、原則として、退職事由及び支給方法の発生確率を加味して計算する。

なお、期末時点において受給権を有していない従業員についても、退職給付見込額の計算の対象となる。

8. 退職給付見込額の見積りにおいては、「合理的に見込まれる退職給付の変動要因には、予想される昇給等が含まれる」(会計基準(注5))ため、予想昇給率等(第28項参照)を見積ることが必要である。したがって、退職給付額が給与に比例して(給与の一定部分に比例している場合も含む。)定められている退職給付制度の場合には、給与が将来どのように上昇するかを推定し、それに基づき算定された昇給額を反映して退職給付見込額を見積る。

(予定退職加算金)

9. 年齢加算金及び役職又は資格に応じて加算される資格加算金等、一定要件を満たした場合に退職給付額に加算される給付金は、年齢等一定要件を満たすことが合理的に予測できる場合にのみ退職給付見込額の見積りに含める。

(早期割増退職金)

10. 一時的に支払われる早期割増退職金は、勤務期間を通じた労働の提供に伴って発生した退職給付という性格を有しておらず、むしろ将来の勤務を放棄する代償、失業期間中の補償等の性格を有するものとして捉えることが妥当であるため、退職給付見込額の見積りには含めず、従業員が早期退職金制度に応募し、かつ、当該金額が合理的に見積られる時点で費用処理する。

退職給付見込額の期間帰属

11. 会計基準第19項では、退職給付見込額の期間帰属方法として、次の2 つの方法の選択適用が認められている。

(1) 退職給付見込額について全勤務期間で除した額を各期の発生額とする方法(以下「期間定額基準」という。)

(2) 退職給付制度の給付算定式に従って各勤務期間に帰属させた給付に基づき見積った額を、退職給付見込額の各期の発生額とする方法(以下「給付算定式基準」という。)

12. 給付算定式基準を適用する場合、給付算定式に基づく退職給付の支払が将来の一定期間までの勤務を条件としているときであっても、当期までの勤務に対応する債務を認識するために、当該給付を各期に期間帰属させる。なお、この場合には、従業員が当該給付の支払に必要となる将来の勤務を提供しない可能性を退職給付債務及び勤務費用の計算に反映しなければならない([設例2])。

13. 給付算定式基準を適用する場合における、会計基準第19項(2)なお書きの「当該期間」とは、次の期間をいうものとする([設例2])。

(1) 従業員の勤務により、はじめて退職給付を生じさせる日から(当該給付の支払が、将来のさらなる勤務を条件としているか否かに関係しない。)

(2) それ以降の勤務により、それ以降の昇給の影響を除けば、重要な追加の退職給付が生じなくなる日まで

退職給付債務の計算

14. 予想退職時期ごとの退職給付見込額のうち期末までに発生したと認められる額(会計基準第19項)を、退職給付の支払見込日までの期間(以下「支払見込期間」という。)を反映した割引率(第24項参照)を用いて割り引く。当該割り引いた金額を合計して、退職給付債務を計算する。

勤務費用の計算

15. 会計基準第17項に定める勤務費用の計算には、退職給付債務の計算に準じて次を含む。なお、勤務費用の計算においては、期首時点で当期の勤務費用を計算する手法を用いる([設例1]の表1-2)。

(1) 退職給付見込額の見積り

退職給付見込額は、退職給付債務の計算において見積った額である(第7項及び第8項参照)。

(2) 退職給付見込額のうち当期において発生すると認められる額の計算

予想退職時期ごとの退職給付見込額のうち、当期において発生すると認められる額を計算する。

当期において発生すると認められる額は、退職給付債務の計算において用いた方法と同一の方法により、当期分について計算する(第11項から第13項参照)。

(3) 勤務費用の計算

予想退職時期ごとの退職給付見込額のうち当期に発生すると認められる額を、割引率を用いて割り引く。当該割り引いた金額を合計して、勤務費用を計算する。

利息費用の計算

16. 利息費用は、期首の退職給付債務に割引率を乗じて計算する(会計基準第21項)ことを原則とするが、期中に退職給付債務の重要な変動があった場合には、これを反映させる([設例10])。

年金資産

年金資産の範囲

17. 年金資産とは、特定の退職給付制度のために、その制度について企業と従業員との契約(退職金規程等)等に基づき積み立てられたものであり、一定の要件を満たした特定の資産をいう(会計基準第7項)。

厚生年金基金制度及び確定給付企業年金制度において保有する資産は年金資産にあたるが、年金資産として適格な資産とは、退職給付の支払に充当できる資産であるため、厚生年金基金制度及び確定給付企業年金制度における業務経理に係る資産は年金資産に含まれない。また、企業年金制度において計上されている未収掛金は、事業主が未払掛金を計上した場合、その金額を限度として、年金資産に含める(この場合、未払掛金と同額、退職給付に係る負債を減額する。)。

なお、企業年金制度における剰余金に相当する資産は、事業主に返還されるまでは年金資産に含まれる。

退職給付信託

18. 退職給付(退職一時金及び退職年金)目的の信託(以下「退職給付信託」という。)を用いる場合、退職給付に充てるために積み立てる資産は、下記のすべての要件を満たしているときは、会計基準第7項の年金資産に該当する。

(1) 当該信託が退職給付に充てられるものであることが退職金規程等により確認できること

年金資産は退職給付制度を前提として退職給付債務に対応するものである。したがって、信託から支払われる退職給付も退職給付制度の枠組みの中にあることが退職金規程等により確認できれば、当該信託財産と退職給付債務との対応関係が認められることになる。

(2) 当該信託は信託財産を退職給付に充てることに限定した他益信託であること

信託財産を複数の退職給付に充てることとする場合には、信託受益権の内容等により支払の対象となる退職給付や処理方法の明確化が必要である。

(3) 当該信託は事業主から法的に分離されており、信託財産の事業主への返還及び事業主による受益者に対する詐害的な行為が禁止されていること

事業主の倒産時において、事業主の債権者に対抗できること及び信託財産の信託の目的に従った処分が実行できる仕組みとなっていることが必要である。

(4) 信託財産の管理・運用・処分については、受託者が信託契約に基づいて行うこと

@ 事業主との分離の実効性を確保するため、例えば、信託管理人を置く方法があるが、その場合は、当該信託管理人が事業主から独立するための措置が必要である。

A 信託財産の管理・運用・処分について事業主と分離することが必要であり、したがって、信託の設定に伴い、信託財産の所有権は受託者に移転すること(信託財産が株式の場合、その名義も受託者に移転すること)及び受託者は事業主からの信託財産の処分等の指示について拒否できないような内容を含まないこと、などの契約であることが必要である。

B 信託は退職給付に充てる目的で設定されるものであり、信託した資産を事業主の意思により、基本的に、事業主の資産と交換することはできないことが必要である。

なお、退職給付信託は、退職一時金制度及び企業年金制度における退職給付債務の積立不足額を積み立てるために設定するものであり、資産の信託への拠出時に、退職給付信託財産及びその他の年金資産の時価の合計額が対応する退職給付債務を超える場合には、当該退職給付信託財産は退職給付会計上の年金資産として認められない。

19. 退職給付信託は、現金による払込を主とする企業年金制度の年金掛金とは相違し、事業主の保有資産を退職給付に充てる目的で直接受託機関に信託するものである。信託財産を会計基準のもとで年金資産とするには、事業主から当該資産が時価で拠出されたと同様の会計処理を行うこととなる([設例8-1])。

年金資産の評価

20. 年金資産の額は、期末における時価により計算する(会計基準第22項)。時価とは、公正な評価額をいい、資産取引に関して十分な知識と情報を有する売り手と買い手が自発的に相対取引するときの価格によって資産を評価した額をいう。なお、厚生年金基金制度等における数理的評価額は、会計基準における時価には該当しない。

期待運用収益の計算

21. 期待運用収益は、期首の年金資産の額に長期期待運用収益率(第25項参照)を乗じて計算する(会計基準第23項)ことを原則とするが、期中に年金資産の重要な変動があった場合には、これを反映させる([設例7])。

数理計算において用いる計算基礎

22. 退職給付債務の計算(第14項参照)における割引率、期待運用収益の算定(第21項参照)に用いる長期期待運用収益率、退職給付見込額の見積り(第7項及び第8項参照)に用いる退職率や予想昇給率等の計算基礎の設定については、第23項から第28項に従う。

複数の退職給付制度における計算基礎

23. 同一事業主が複数の退職給付制度を採用している場合における各計算基礎は、同一でなければならない。ただし、単一の加重平均割引率、年金資産のポートフォリオ又は運用方針等が異なる場合の長期期待運用収益率等、退職給付制度ごとに異なる計算基礎を採用することに合理的な理由がある場合を除く。

割引率

24. 退職給付債務等の計算(第14項から第16項参照)における割引率は、安全性の高い債券の利回りを基礎として決定する(会計基準第20項)が、この安全性の高い債券の利回りには、期末における国債、政府機関債及び優良社債の利回りが含まれる(会計基準(注6))。優良社債には、例えば、複数の格付機関による直近の格付けがダブルA格相当以上を得ている社債等が含まれる。

割引率は、退職給付支払ごとの支払見込期間を反映するものでなければならない。当該割引率としては、例えば、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用する方法や、退職給付の支払見込期間ごとに設定された複数の割引率を使用する方法が含まれる。

長期期待運用収益率

25. 長期期待運用収益率は、年金資産が退職給付の支払に充てられるまでの時期、保有している年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して設定する。

その他の計算基礎

(退職率)

26. 退職率とは、在籍する従業員が自己都合や定年等により生存退職する年齢ごとの発生率のことであり、在籍する従業員が今後どのような割合で退職していくかを推計する際に使用する計算基礎である。したがって、将来の予測を適正に行うために、計算基礎は、異常値(リストラクチャリングに伴う大量解雇、退職加算金を上乗せした退職の勧誘による大量退職等に基づく値)を除いた過去の実績に基づき、合理的に算定しなければならない(第72項参照)。

退職率は個別企業ごとに算定することを原則とするが、事業主が連合型厚生年金基金制度等において勤務環境が類似する企業集団に属する場合には、当該集団の退職率を用いることができる。

(死亡率)

27. 死亡率とは、従業員の在職中及び退職後における年齢ごとの死亡発生率をいう。年金給付は、通常、退職後の従業員が生存している期間にわたって支払われるものであることから、生存人員数を推定するために年齢ごとの死亡率を使うのが原則である。この死亡率は、事業主の所在国における全人口の生命統計表等を基に合理的に算定する。

(予想昇給率)

28. 予想昇給率は、個別企業における給与規程、平均給与の実態分布及び過去の昇給実績等に基づき、合理的に推定して算定する。過去の昇給実績は、過去の実績に含まれる異常値(急激な業績拡大に伴う大幅な給与加算額、急激なインフレによる給与テーブルの改訂等に基づく値)を除き、合理的な要因のみを用いる必要がある(第72項参照)。

なお、予想昇給率等には、勤務期間や職能資格制度に基づく「ポイント」により算定する場合が含まれる。

予想昇給率は個別企業ごとに算定することを原則とするが、連合型厚生年金基金制度等において給与規程及び平均給与の実態等が類似する企業集団に属する場合には、当該集団の予想昇給率を用いることができる。

計算基礎に重要な変動が生じているかどうかの判定方法

29. 会計基準(注8)は、「割引率等の計算基礎に重要な変動が生じていない場合には、これを見直さないことができる」としている(重要性基準)が、「重要な変動が生じていない」かどうかについては、第30項から第32項に従って判断を行う。

(割引率変更の要否)

30. 割引率は期末における安全性の高い債券の利回りを基礎として決定されるが(会計基準第20項)、各事業年度において割引率を再検討し、その結果、少なくとも、割引率の変動が退職給付債務に重要な影響を及ぼすと判断した場合にはこれを見直し、退職給付債務を再計算する必要がある。

重要な影響の有無の判断にあたっては、前期末に用いた割引率により算定した場合の退職給付債務と比較して、期末の割引率により計算した退職給付債務が10%以上変動すると推定されるときには、重要な影響を及ぼすものとして期末の割引率を用いて退職給付債務を再計算しなければならない(第72項参照)。

(長期期待運用収益率変更の要否)

31. 当年度の退職給付費用の計算に用いられる長期期待運用収益率は、当期損益に重要な影響があると認められる場合のほかは、見直さないことができる。

(その他の計算基礎の変更の要否)

32. 予想昇給率や退職率等その他の計算基礎の重要性の判断にあたっては、それぞれの企業固有の実績等に基づいて退職給付債務等に重要な影響があると認められる場合は、各計算基礎を再検討し、それ以外の事業年度においては、見直さないことができる。

未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の会計処理

33. 未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用は、次のように会計処理する([設例4-1]及び[設例5-1])。

(1) 当期に発生した数理計算上の差異(第34項参照)及び過去勤務費用(第41項参照)のうち、当期に費用処理された部分(第35項から第40項及び第42項参照)については、退職給付費用として、当期純利益を構成する項目に含めて計上する(会計基準第14項)。

(2) 当期に発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用のうち、当期に費用処理されない部分(未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用となる。)については、その他の包括利益で認識した上で、純資産の部のその他の包括利益累計額に計上する(会計基準第15項、第24項及び第25項)。

(3) その他の包括利益累計額に計上されている未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用のうち、当期に費用処理された部分について、その他の包括利益の調整(組替調整)を行う(会計基準第15項)。

(2)及び(3)のその他の包括利益及びその他の包括利益累計額の処理にあたっては、税効果を調整する。

数理計算上の差異

数理計算上の差異の内容

34. 数理計算上の差異とは、年金資産の期待運用収益(第21項参照)と実際の運用成果との差異、退職給付債務の数理計算に用いた見積数値と実績との差異及び見積数値の変更等により発生した差異をいう(会計基準第11項)。

数理計算上の差異には、あらかじめ定めた計算基礎(第22項から第28項参照)に基づく数値と各事業年度における実際の数値との差異及び計算基礎を変更した場合に生じる差異が含まれる。

数理計算上の差異の費用処理方法

(費用処理方法の選択)

35. 数理計算上の差異は、原則として、各年度の発生額について発生年度に費用処理する方法又は平均残存勤務期間(第37項参照)以内の一定の年数で按分する方法(以下「定額法」という。[設例4-1])により費用処理するが、未認識数理計算上の差異の残高の一定割合を費用処理する方法(会計基準(注7))(以下「定率法」という。[設例5-1])によることもできる。

定額法と定率法とは選択適用できるが、いったん採用した費用処理方法は、正当な理由により変更する場合を除き、継続的に適用しなければならない。

(定率法による費用処理)

36. 定率法では、数理計算上の差異を発生年度ごとに管理せず、その残高に一定年数に基づく定率を乗じた金額が当年度の費用処理額となる。

一定年数に基づく定率は、数理計算上の差異の費用処理期間以内で、当該発生金額のおおむね90%が費用処理されるように決定する。この方法を採用した場合、例えば、費用処理期間5年の定率は0.369、10年の定率は0.206 である。

(平均残存勤務期間の算定方法)

37. 平均残存勤務期間は、在籍する従業員が貸借対照表日から退職するまでの平均勤務期間であり、原則として、退職率(第26項参照)と死亡率(第27項参照)を加味した年金数理計算上の脱退残存表を用いて算定する(第72項参照)が、標準的な退職年齢から貸借対照表日現在の平均年齢を控除して算定することもできる。標準的な退職年齢は、定年年齢、退職給付算定上の終了年齢及び退職者の平均年齢等、実態に即した年齢を用いる。

38. 平均残存勤務期間は原則として毎年度末に算定する。ただし、従業員の退職状況に大きな変化がみられない場合は、直近時点で算定した平均残存勤務期間を用いることもできる。他方、従業員の年齢構成が大きく変化した場合や企業年金制度において財政再計算時の計算基礎を見直した場合には、平均残存勤務期間についても見直しの要否を検討しなければならない。

(数理計算上の差異に係る費用処理年数の変更)

39. 数理計算上の差異の費用処理年数は、発生した年度における平均残存勤務期間以内の一定の年数(第35項参照)を継続的に適用する必要がある。したがって、一度採用した費用処理年数を変更する場合には合理的な変更理由が必要となる。

(平均残存勤務期間を費用処理年数として採用する場合の変更)

40. 平均残存勤務期間を費用処理年数として採用する場合で、リストラクチャリングによる従業員の大量退職などにより平均残存勤務期間の再検討を行った結果、平均残存勤務期間が短縮又は延長されたことにより、再検討後の年数が従来の費用処理年数を下回る又は上回ることとなったときには、費用処理期間を短縮又は延長する。

(1) 定額法による場合の費用処理年数の短縮

未認識数理計算上の差異の期首残高は「短縮後の平均残存勤務期間−既経過期間」にわたって費用処理する。なお、「短縮後の平均残存勤務期間−既経過期間」がゼロ又はマイナスとなる場合は、当期に残高のすべてを一括して費用処理する。

(2) 定率法による場合の費用処理年数の短縮

未認識数理計算上の差異の期首残高に、短縮後の費用処理年数に基づく定率を乗じた額を費用処理する。

(3) 費用処理年数の延長

定額法による場合及び定率法による場合ともに、未認識数理計算上の差異の期首残高については、変更前の平均残存勤務期間に基づく費用処理年数を継続して適用し、変更後の費用処理年数は当年度発生の数理計算上の差異から適用する。

過去勤務費用

過去勤務費用の内容

41. 過去勤務費用とは、退職給付水準の改訂等に起因して発生した退職給付債務の増加又は減少部分(会計基準第12項)であり、退職金規程等の改訂に伴い退職給付水準が変更された結果生じる、改訂前の退職給付債務と改訂後の退職給付債務の改訂時点における差額を意味する。「退職給付水準の改訂等」の「等」には、初めて退職給付制度を導入した場合で、給付計算対象が現存する従業員の過年度の勤務期間にも及ぶときが含まれる。

なお、給与水準の変動(以下「ベースアップ」という。)による退職給付債務の変動は、過去勤務費用には該当しない(第34項参照)。

過去勤務費用の費用処理方法

42. 過去勤務費用の費用処理方法は、数理計算上の差異の費用処理方法(第35項から第40項参照)に準じる(この場合、第35項の「会計基準(注7)」については、「会計基準(注9)」に読み替えるものとする。)。ただし、退職金規程等の改訂による過去勤務費用については頻繁に発生するものでない限り、発生年度別に一定の年数にわたって定額法による費用処理を行うことが望ましい。

43. 過去勤務費用と数理計算上の差異は発生原因又は発生頻度が相違するため、費用処理年数はそれぞれ別個に設定することができる。

年金資産の返還に伴う会計処理

44. 年金資産が退職給付債務を超過した場合、その制度上、年金財政計算による年金掛金の減少又は剰余金として企業に返還される場合があるが、返還にあたっては、返還される予定の資産及び返還されなかった資産とも、会計基準第7項の年金資産としてのすべての要件を満たすことが必要である。

45. 年金資産が事業主へ返還された場合には、返還額を事業主の資産の増加と退職給付に係る資産の減少(又は退職給付に係る負債の増加)として処理する。

また、返還前の年金資産に占める返還額の割合が重要な場合には、返還時点における年金資産に係る未認識数理計算上の差異のうち、当該返還額に対応する金額については、一時の費用としない理由(会計基準第67項)は失われているものと考えられることから、当該差異の重要性が乏しい場合を除き、返還時に損益として認識する。この場合、返還された年金資産に個別に対応する未認識数理計算上の差異が明らかであれば、当該対応額を損益に計上し、返還された年金資産に個別に対応する未認識数理計算上の差異を特定することが困難であれば、返還時の年金資産の比率等により合理的に按分した金額を損益に計上する(その他の包括利益の組替調整となる。)([設例7]及び[設例8-2])。

代行返上があった場合の会計処理

46. 確定給付企業年金法に基づき、厚生年金基金制度を確定給付企業年金制度へ移行し、厚生年金基金制度の代行部分(以下「代行部分」という。)を返上(以下「代行返上」という。)した場合、代行部分に係る退職給付債務は、当該返還の日にその消滅を認識する。

また、将来分返上認可、過去分返上認可及び返還に関して、それぞれ次のとおりに会計処理する([設例10])。

(1) 将来分返上認可を受けたときは、当該認可の直前の代行部分に係る退職給付債務と将来分支給義務免除を反映した退職給付債務との差額を、代行部分に係る過去勤務費用(第41項参照)として認識し、将来分返上認可の日以後は、将来分支給義務免除を反映した退職給付債務の金額に基づき退職給付費用を算定するとともに、当該過去勤務費用を企業が採用する方法及び期間(第42項及び第43項参照)で費用処理する。

(2) 過去分返上認可を受けたときは、次による。

@ 過去分返上認可の直前の代行部分に係る退職給付債務を国への返還相当額(最低責任準備金)まで修正し、その差額を損益に計上する。

A 未認識過去勤務費用、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異(第130項参照)の未処理額のそれぞれの残高のうち、過去分返上認可の日における代行部分に対応する金額を、退職給付債務に占める代行部分の比率その他合理的な方法により算定し、損益に計上する(その他の包括利益の組替調整となる。)。

(3) 返還の日において、過去分返上認可により修正された退職給付債務(上記(2)@参照)と実際返還額との間に差額が生じた場合には、原則として、当該差額を損益に計上する。

なお、上記(2)@及びAにおいて認識される損益((2)と(3)が同一事業年度の場合は(3)の損益を含む。)は、代行返上という特別な同一事象に伴って生じたものであるため、特別損益に純額で計上する。

小規模企業等における簡便法

(小規模企業等における簡便法の適用範囲)

47. 会計基準第26項に基づき、従業員数が比較的少ない小規模な企業等において、簡便な方法を用いて退職給付に係る負債及び退職給付費用を計上する場合、第48項から第51項に従った会計処理(以下「簡便法」という。)を行う。

簡便法を適用できる小規模企業等とは、原則として従業員数300 人未満の企業をいうが、従業員数が300 人以上の企業であっても年齢や勤務期間に偏りがあるなどにより、原則法による計算の結果に一定の高い水準の信頼性が得られないと判断される場合には、簡便法によることができる。なお、この場合の従業員数とは退職給付債務の計算対象となる従業員数を意味し、複数の退職給付制度を有する事業主にあっては制度ごとに判断する。

従業員数は毎期変動することが一般的であるので、簡便法の適用は一定期間の従業員規模の予測を踏まえて決定する。

(簡便法による退職給付に係る負債の計算)

48. 小規模企業等において簡便法を適用する場合、次の金額を退職給付に係る負債(又は退職給付に係る資産)とする。

(1) 非積立型の退職給付制度については、第50項及び第51項の方法により計算された退職給付債務の額

(2) 積立型の退職給付制度(退職一時金制度に退職給付信託を設定したものを含む。以下同じ。)については、(1)の金額から年金資産の額を控除した金額

期末日における年金資産の額については、時価を入手する代わりに、直近の年金財政決算における時価を基礎として合理的に算定された金額(例えば、直近の時価に期末日までの拠出額及び退職給付の支払額を加減し、当該期間の見積運用収益を加算した金額)を用いることができる。

(簡便法による退職給付費用の計算)

49. 小規模企業等において簡便法を適用する場合、次の差額を当年度の退職給付費用とする。

(1) 非積立型の退職給付制度については、期首の退職給付に係る負債残高から当期退職給付の支払額を控除した後の残高と、期末の退職給付に係る負債(第48項(1)参照)との差額

(2) 積立型の退職給付制度については、期首の退職給付に係る負債残高から当期拠出額を控除した後の残高(事業主が退職給付額を直接支払う場合、当該給付の支払額も控除する。)と、期末の退職給付に係る負債(第48項(2)参照)との差額

(簡便法による退職給付債務の計算)

50. 小規模企業等において簡便法を適用する場合、次の方法のうち、各事業主の実態から合理的と判断される方法を選択して退職給付債務を計算する。いったん選択した方法は、原則として継続して適用する。

(1) 退職一時金制度

@ 会計基準(又は平成10年6月に企業会計審議会から公表された「退職給付に係る会計基準」(以下「平成10年会計基準」という。))の適用初年度の期首における退職給付債務の額を原則法に基づき計算し、当該退職給付債務の額と自己都合要支給額との比(比較指数)を求め、期末時点の自己都合要支給額に比較指数を乗じた金額を退職給付債務とする方法(翌年度以後においては計算基礎等に重要な変動がある場合は、比較指数を再計算する。)

なお、原則法により計算された親会社の比較指数を用いることに合理性があると判断される場合には、親会社の比較指数を自社の期末自己都合要支給額に乗じた金額を退職給付債務とする方法も適用することができる。

A 退職給付に係る期末自己都合要支給額に、【資料1】及び【資料2】に示されている平均残存勤務期間に対応する割引率及び昇給率の各係数を乗じた額を退職給付債務とする方法([設例9]1.)

B 退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法

(2) 企業年金制度

@ 会計基準(又は平成10年会計基準)の適用初年度の期首における退職給付債務の額を原則法に基づき計算し、当該退職給付債務の額と年金財政計算上の数理債務との比(比較指数)を求め、直近の年金財政計算における数理債務の額に比較指数を乗じた金額を退職給付債務とする方法(翌年度以後においては計算基礎等に重要な変動がある場合は、比較指数を再計算する。)

なお、原則法により計算された親会社の比較指数を用いることに合理性があると判断される場合には、親会社の比較指数を自社の直近の年金財政計算における数理債務の額に乗じた金額を退職給付債務とする方法も適用することができる。

A 在籍する従業員については上記(1)A又は(1)Bの方法により計算した金額を退職給付債務とし、年金受給者及び待期者については直近の年金財政計算上の数理債務の額を退職給付債務とする方法

B 直近の年金財政計算上の数理債務をもって退職給付債務とする方法([設例9]2.)

51. 退職一時金制度の一部を企業年金制度に移行している事業主においては、次のいずれかの方法で退職給付債務を計算する。

(1) 退職一時金制度の未移行部分に係る退職給付債務と企業年金制度に移行した部分に係る退職給付債務を、前項の方法によりそれぞれ計算する方法

(2) 在籍する従業員については企業年金制度に移行した部分も含めた退職給付制度全体としての自己都合要支給額を基に計算した額を退職給付債務とし、年金受給者及び待期者については年金財政計算上の数理債務の額をもって退職給付債務とする方法([設例9]3.)

確定給付制度の開示

注記事項

(会計方針に係る注記)

52. 「退職給付の会計処理基準に関する事項」(会計基準第30項(1))には、次の項目が含まれる。

(1) 退職給付見込額の期間帰属方法(会計基準第19項)

(2) 数理計算上の差異及び過去勤務費用の費用処理方法(第35項、第39項及び第42項参照)並びに会計基準変更時差異の費用処理方法(第130項参照)

(退職給付に係る注記)

53. 「企業の採用する退職給付制度の概要」(会計基準第30項(2))には、企業の採用する退職給付制度の種類の一般的説明を記載する。

54. 「退職給付債務の期首残高と期末残高の調整表」(会計基準第30項(3))を注記するにあたっては、次の項目を含む主な内訳が分かるように記載する。なお、重要性が乏しい項目については、「その他」に含めることができる。

(1) 勤務費用

(2) 利息費用

(3) 数理計算上の差異の当期発生額(費用処理されたものを含む。)

(4) 退職給付の支払額

(5) 過去勤務費用の当期発生額(費用処理されたものを含む。)

(6) その他

55. 「年金資産の期首残高と期末残高の調整表」(会計基準第30項(4))を注記するにあたっては、次の項目を含む主な内訳が分かるように記載する。なお、重要性が乏しい項目については、「その他」に含めることができる。

(1) 期待運用収益

(2) 数理計算上の差異の当期発生額(費用処理されたものを含む。)

(3) 事業主からの拠出額

(4) 退職給付の支払額

(5) その他

56. 「退職給付債務及び年金資産と貸借対照表に計上された退職給付に係る負債及び資産の調整表」(会計基準第30項(5))を注記するにあたっては、退職給付債務について、積立型制度と非積立型制度の内訳を記載する。

57. 「退職給付に関連する損益」(会計基準第30項(6))を注記するにあたっては、当期純利益を構成する項目に計上された次の退職給付費用の項目について記載する。なお、重要性が乏しい項目については、集約して記載することができる。

(1) 勤務費用

(2) 利息費用

(3) 期待運用収益

(4) 数理計算上の差異の当期の費用処理額

(5) 過去勤務費用の当期の費用処理額

(6) その他(会計基準変更時差異の費用処理額、臨時に支払った割増退職金等)

58. 「その他の包括利益に計上された数理計算上の差異及び過去勤務費用の内訳」(会計基準第30項(7))を注記するにあたっては、次の項目ごとに、当期発生額及び費用処理に係る組替調整額の合計を記載する。また、「貸借対照表のその他の包括利益累計額に計上された未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の内訳」(会計基準第30項(8))を注記するにあたっては、次の項目ごとの残高が分かるように記載する。なお、重要性が乏しい項目については、集約して記載することができる。

(1) (未認識)数理計算上の差異

(2) (未認識)過去勤務費用

(3) 会計基準変更時差異(の未処理額)

59. 「年金資産に関する事項」(会計基準第30項(9))を注記するにあたっては、次の項目について記載する。

(1) 年金資産の主な内訳として、株式、債券などの種類ごとの割合又は金額。なお、退職給付信託が設定された企業年金制度について、年金資産の合計額に対する退職給付信託の額の割合が重要である場合には、その割合又は金額を別に付記する。

(2) 長期期待運用収益率の設定方法に関する記載(年金資産の主要な種類との関連)

60. 「数理計算上の計算基礎に関する事項」(会計基準第30項(10))として、次の項目を注記する。

(1) 割引率

(2) 長期期待運用収益率

(3) その他の重要な計算基礎(予想昇給率等)

(代行返上があった場合の注記)

61. 第46項による代行返上に関して、将来分返上認可の日の属する事業年度から返還の日の属する事業年度までの各事業年度の財務諸表に次の注記を行う。

(1) 将来分返上認可を受けたときは、当該認可の日の属する事業年度から過去分返上認可の日の属する事業年度の直前事業年度までの各事業年度に係る財務諸表に、@将来分返上認可の日、A期末日現在において測定された返還相当額(最低責任準備金)及びB期末日現在において測定された返還相当額(最低責任準備金)の支払が期末日に行われたと仮定して第46項を適用した場合に生じる損益の見込額

(2) 過去分返上認可を受けたとき又は現金納付が完了したときは、当該認可の日又は当該返還の日の属する事業年度に係る財務諸表に、その旨及び損益に与えている影響額

なお、将来分返上認可と過去分返上認可又は現金納付の完了が同一事業年度内にあった場合は、上記(1)のA及びBの記載を要しない。

(小規模企業等における簡便法の注記)

62. 簡便法(第47項参照)を適用した退職給付制度がある場合、次の事項を注記する。

この場合、当該制度については会計基準第30項及び本適用指針第52項から第60項の注記を要しない。

(1) 退職給付の会計処理基準に関する事項として、適用した退職給付債務の計算方法(第50項及び第51項参照)

(2) 退職給付制度の概要として、簡便法を適用した制度の概要

(3) 簡便法を適用した制度の、退職給付に係る負債(又は資産)の期首残高と期末残高の調整表(退職給付費用、退職給付の支払額、拠出額の内訳を示す。)

(4) 退職給付債務及び年金資産と貸借対照表に計上された退職給付に係る資産及び負債の調整表(簡便法を適用した退職給付制度以外の制度について第56項の注記をする場合、その内訳に合算することができる。)

(5) 退職給付費用(簡便法を適用した退職給付制度以外の制度について第57項の注記をする場合、その内訳に追加することができる。)

複数事業主制度の会計処理及び開示

(自社の負担に属する年金資産等の計算に用いる合理的な基準)

63. 複数事業主制度を採用している場合の、自社の負担に属する年金資産等の計算を行うときの合理的な基準(会計基準第33項(1))としては、次に例示する額についての制度全体に占める各事業主に係る比率によることができるものとする。

(1) 退職給付債務

(2) 年金財政計算における数理債務の額から、年金財政計算における未償却過去勤務債務を控除した額

(3) 年金財政計算における数理債務の額

(4) 掛金累計額

(5)年金財政計算における資産分割の額

(自社の拠出に対応する年金資産の額の合理的な計算ができない場合)

64. 複数事業主制度の企業年金制度において、「自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができないとき」(会計基準第33項(2))とは、複数事業主制度において、事業主ごとに未償却過去勤務債務に係る掛金率や掛金負担割合等の定めがなく、掛金が一律に決められている場合をいうものとする。

ただし、これに該当する場合であっても、親会社等の特定の事業主に属する従業員に係る給付等が制度全体の中で著しく大きな割合を占めているときは、当該親会社等の財務諸表上、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算できないケースにはあたらないものとする。

(確定拠出制度に準じた場合の開示)

65. 会計基準第33項(2)の注記事項である「直近の積立状況等」とは、年金制度全体の直近の積立状況等(年金資産の額、年金財政計算上の給付債務の額及びその差引額)及び年金制度全体の掛金等に占める自社の割合並びにこれらに関する補足説明をいうものとする。

なお、重要性が乏しい場合には当該注記を省略できる。

適用時期等

66. 本適用指針の適用時期は、会計基準と同様とする。

67. 会計基準第35項に掲げた定め(退職給付債務及び勤務費用の定め並びに特別損益における表示の定め)を適用する場合、本適用指針における退職給付債務及び勤務費用の定め(第4項から第16項参照)、計算基礎の定め(第22項から第32項参照)並びに複数事業主制度の定めの一部(第63項及び第64項参照)についても、平成26年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用する。ただし、平成26年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用することが実務上困難な場合には、所定の注記(会計基準第35項)を行うことを条件に、平成27年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用することができる。なお、平成25年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用することができる。

68. 会計基準第34項の適用後、前項に掲げた定めを適用しない期間(会計基準第36項が定める期間)がある場合、当該期間については、日本公認会計士協会 会計制度委員会報告第13号「退職給付会計に関する実務指針(中間報告)」(以下「改正前指針」という。)における退職給付債務及び勤務費用の定め、計算基礎の定め並びに複数事業主制度の定め(改正前指針第2項から第5項、第10項から第21項、第32項及び第33項)に従う。

69. 会計基準第37項が定める会計方針の変更の影響額の算定にあたっては、税効果会計の影響も反映する([設例3])。

(個別財務諸表における当面の取扱い)

70. 個別財務諸表上、当面の間、第33項(2)、(3)及び第58項については適用しない(会計基準第39項)([設例4-2]及び[設例5-2])。

議 決

71. 本適用指針は、第243回企業会計基準委員会に出席した委員11名全員の賛成により承認された。

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