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町の薬局で働く私たち薬剤師は「薬物療法のインストラクター」として、「薬」と「情報」をいかに患者さんのお役に立てる形にできるか、日々、悪戦苦闘しています。
その仕事の1つに「薬についてDrへの照会」というものがあります。簡単に言えば、医師が発行した処方せんをチェックし、医師に問い合わせをすることです。どんな名医にもミスはありますし、病気と薬の相性や薬と薬の飲み合わせなどにも注意を払っています。
このページでは[薬の照会」の事例の一部についてご紹介したいと思います。
| 吸入薬がなくならない? | |||
| 血液サラサラの薬 | コレステロールの薬とGFJ | 睡眠薬でぼける? | 薬の副作用を薬で対応? |
| 見かけの腎機能にご用心 | 若い女性を見たら妊娠を疑え | 認知症の薬で徐脈に | 心臓の薬でCOPD悪化 |
痛み止め併用で「血液サラサラ」の効果消失
よく市販薬で名前を耳にする「バファリン」。医療用では、解熱鎮痛剤としてではなく、
抗血小板剤(血液サラサラ)の薬として使われることが多い薬です。この「バファリン」に
ある種の痛み止めを併用すると、血液サラサラの効果がなくなることがあります。
<患者背景>
77歳女性 女性
既往歴:脳梗塞、高血圧、逆流性食道炎、胃潰瘍
処方) @セルベックスカプセル50mg 3P 毎食後
Aニューロタン錠25mg 1T
オメプラール錠10mg 1T
バファリン錠81mg 1T 朝食後
腰痛にて追加処方)
BインテバンSP25mg 2P 朝・夕食後
<疑義照会>
「インテバンSP」と「バファリン」の併用について。
バファリンの効果がなくなり、脳梗塞再発の危険性が出てくる恐れあります。
代替案として、併用に問題がなく、胃に優しいタイプの「ハイペン」「モービック」を提案します。
B→Cへ変更)
Cハイペン錠200mg 2T 朝・夕食後
<コメント>
この相互作用は薬剤師の間では有名ですが、実は、薬の添付文書に記載がありません。
故に、ご存知ないDrも多いと思います。内科と整形を通院している方などは、自分の飲んでいる薬の内容をしっかり伝え、
薬剤師にも見てもらいましょう。
平成20年10月8日 YUICHI
吸入薬がなくならない?(吸入薬がなくなっているのに気がつかない?)
平成19年11月21日 YUICHI
睡眠薬を続けるとボケる?認知症になる?とよく聞かれますが、そういう事はありませんのでご安心を。ただ、一時的に記憶のなくなる副作用(一過性前向性健忘)があります。それを見て、あるいは体験して、そのようなウワサがあると考えられています。
一過性前向性健忘:服薬後から入眠までの出来事を覚えていない、途中覚醒時の出来事を覚えていないといった、一時的な記憶がなくなる副作用。この副作用は、特に超短時間型の睡眠薬(いわゆる睡眠導入剤)に、用量依存的に多く見られる特徴があります。
服薬後はすぐに就寝し、睡眠中に起こさないように注意する必要があります。
<患者背景>
69歳女性 アルコール(−)
現在治療中の病名:高血圧、不眠症
処方) マイスリー錠10mg 1T 就寝前
ブロプレス錠4mg 1T 朝食後
ノルバスク錠5mg 1T 朝食後
<経過>
H19.7.6 夜中の物音で目が覚めて、どうも記憶がないみたいと訴えあり。
マイスリー錠による副作用の説明、半分(5mg)での服用を勧める
H19.7.19 マイスリー錠半分(5mg)でも健忘あり。夜中の娘からの電話の内容を覚えてない。
DrへTEL、薬の照会。超短時間型ではなく、短時間型の眠剤を試してみる
ことになる。
マイスリー錠10mg → レンドルミン錠0.25mg へ変更
H19.8.1 寝つきはマイスリー錠の方が良かったが、健忘はなく、よく眠れている。
レンドルミン錠の筋弛緩作用によるふらつきや持ち越しもなし。
<コメント>
この一過性前向性健忘という副作用は用量依存的に見られます。心当たりのある方はまず、お薬の量を減らしてみましょう。それでも駄目なら、睡眠薬の変更(種類の変更も含めて)を考えてもらいましょう。
平成19年11月14日YUICHI
平成19年10月24日 YUICHI
血圧のお薬のカルシウム拮抗剤と呼ばれる種類の多くがグレープフルーツジュースと相性が悪いのは有名ですが、コレステロールのお薬でも相性の悪いものがあります。
<患者背景>
47歳女性
現在治療中の病名:なし
処方) リポバス錠5mg 1T 朝食後
<経過>
検診でひっかかり、初めてコレステロールのお薬を飲むことになる。一通りの説明の後に、「このお薬の服用中はグレープフルーツジュースを飲まないようにしてください。」とお願いしたところ、「えー、グレープフルーツジュース、大好きなんです。毎朝飲んでます。」との返答。
早速、ドクターに電話し、グレープフルーツジュースの影響の全くない「メバロチン」を提案、変更となる。
リポバス錠5mg → メバロチン錠 10mg
<コメント>
リポバス服用中にグレープフルーツジュースを飲用すると、身体の中のお薬の濃度が3倍〜16倍にもなる事が報告されています。それに伴い重大な副作用も報告されています。しかし、同じ系統のお薬でいくらでも代用が利きます。血圧のお薬もアムロジンというお薬なら殆ど影響がありません。グレープフルーツが好きだけどお薬と相性が悪いから・・と我慢しているなら、一度はかかりつけの薬剤師に相談してみましょう。
平成19年10月17日 YUICHI
現在、WHO(世界保健機関)の統計では、COPDは世界の死亡原因の第4位にランクされ、今後数十年の間に、ますます患者数と死亡率が高まることが予測されているCOPD。
今回はお薬のせいでCOPDが悪化した症例を紹介します。
| COPDとは、息をするときに空気の通り道となる「気道」に障害が起こって、ゆっくりと呼吸機能が低下する病気です。以前は「肺気腫」、「慢性気管支炎」とされていた病気を、まとめてCOPDと呼ぶようになりました。ありふれた症状で始まり、ゆっくりと進行するため、異常を感じて受診したときには重症に陥っている場合が多い「肺の生活習慣病」です。重症になると息苦しさのために行動の自由が奪われたり、全身に障害があらわれるなど、たいへんな苦しみをともなう病気です。 |
<患者背景>
73歳男性 アルコール(+)タバコ(−)喫煙歴(+)
現在治療中の病名:心筋梗塞の再発予防、前立腺肥大症、
処方) アーチスト錠10mg 0.5T 朝食後
ブロプレス錠8mg 1T 朝食後
バイアスピリン錠100mg 1T 朝食後
プラバスタン錠 10mg 1T 朝食後
ハルナールD錠 0.2mg 朝食後
スピリーバ吸入用カプセル
<経過>
最近、息切れがきついと患者さんからの訴え。肺気腫の既往があるとの事で、吸入を試すことになり、COPDの症状を緩和する吸入薬「スピリーバ」が追加となる。そこで、アーチストにはβ1選択性がないので、ドクターにβ1選択性のあるメインテートを提案し、変更となる。
アーチスト錠 10mg 0.5T → メインテート錠 2.5mg 1T
結果、症状は改善し、患者さんから感謝の電話を頂く。
<コメント>
アーチストは心筋梗塞の再発予防や心不全にはとても有用なお薬ですが、心臓にあるβ1レセプターだけでなく、気管支にあるβ2レセプターにも作用してしまう為、喘息やCOPDには不向きなお薬です。そこで、β1選択性のあるメインテートを提案しました。結果、COPDの症状は劇的に改善、患者さんには大変感謝されました。しかし、後日、今度は尿の出が最近悪いと相談を受けました。後で薬歴を記入しながら、ハッとなりました。アーチストはαβ-ブロッカー、これがβ1-ブロッカーのメインテートに変わったということはα-ブロッカーの作用がトータルで弱くなったからでは?今度はそっちの方でドクターと相談が必要なようです。
平成19年10月3日 YUICHI
平成19年7月11日 Yuichi
平成18年9月13日 Yuichi
大正2年生まれ(93歳)の元気なお婆ちゃん。平成14年より当薬局をご利用して頂いてお
り、心不全・高脂血症にて下記お薬を服用中。
Rp1)ラシックス(40) 1.5T 朝・昼食後
2) メバロチン(5) 1T 朝食後
ハーフジゴキシンKY(0.125) 1T 朝食後
3)アーチスト(2.5) 2T 朝・夕食後
今回、尿酸値が高かったとの事で
Rp4)アロプリノール(100) 2T 朝・夕食後
が追加の処方箋を持参されました。
このアロプリノールというお薬(肝臓での尿酸の合成を抑制する薬)は腎臓から体外へ排泄されます。高齢者では腎機能が低下していることが多く用量に注意する必要があります。
ところで、お婆ちゃんの採血結果は
尿酸値 10.2 ↑ (女:2.3〜7.0)
BUN 22.4 ↑ (8.0〜21.0)
S-Cr 1.1 ↑(女:0.4〜0.9)
と見かけの腎機能のS-Crはわずかに高めという感じですが、ご高齢なので腎機能を算出してみました。体重は40kgとの事なのでCockroft-Gaultの式を用いて計算すると、
薬物の排泄を最も鋭敏に反映するCLcrは20となり、アロプリノールの至適用量は50mgとなります。
そこでDrに照会した結果、尿酸高値による腎臓へのダメージも怖いので100mg
1Tで様子を見ようということになりました。
検査結果の腎機能は悪くなくとも、高齢者においては筋肉量が少ないこと等が影響して潜在的に腎機能が低下している方が多いですので注意が必要です。
平成18年7月12日 YUICHI
内科で心筋梗塞の再発予防の為に「バファリン錠81mg」を朝と夕に1Tずつ服用している男性(68歳)から、畑仕事に出るとちょっと物に当たっただけで腕にアザができるという相談を受けました。
「バファリン錠81mg」は血小板凝集抑制効果のある薬で、よく薬の説明時に血液サラサラの薬といわれる薬です。
この男性は、最近、手足のしびれ感が気になり整形外科にも通い出しており、「オパルモン錠5μg」という薬を飲み始めていました。この薬も「バファリン錠81mg」とは作用は異なりますが、血液をサラサラにする薬です。つまり、2つの薬を併用することで血液がサラサラになりすぎてしまって、内出血をしやすくなっているのではと考えました。
そこで、内科の主治医に相談し、「バファリン錠81mg」の1日の量を2Tから1Tに減らして様子を見ることになりました。現在、アザは出来なくなり、心臓の方も順調ということです。
最近、血液をサラサラにする薬は多くの診療科において多くの疾患に使われています。また、サプリメントの分野でも血液サラサラの商品が多く販売されています。

よくバラエティや健康番組で見かける絵でしょ?血液サラサラという言葉はマスコミやサプリメントの分野が作った言葉かもしれませんね?
アザができる、歯茎から出血するといった症状が気になる方は、かかりつけ薬局・薬剤師にご相談ください。
平成18年3月22日 Yuichi