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| 滑った感覚よりも、ただ落下しただけの感覚しか、記憶にない一日になった。 バルディーズは、本日も快晴。心中不安の自分とROKUを乗せたヘリは、超スティープな斜面に向け離陸した。20分程の飛行のあと、ヘリは岩が剥き出しになったクリフ上空にアプローチ、そしてクリフ上部のピーク上空を旋回。 ピーク付近に誰かいるようだ。接近するとその人影は、ディーン・カミングスだった。ヘリを誘導するために待っていたようだ。 ドロップする方向と反対側は、ボトムから真っ直ぐに切立ったクリフ。覗き込んでも真下が見えない。ドロップポイントまでリッジの上を緊張しながら進む。ディーンが、ドロップする斜面の上部にプレッシャーを与え、斜面の強度を計る。スラフが落ちるようなことは無く安定しているように思える。安定しているというよりは、あまりのスティ−プな斜面に、落ちるものは全て落ちてしまったと言った方が正しいだろうか。 ファーストにはディ−ンがドロップ。 彼がボトムまで到達したら、1人ずつドロップするよう指示が出された。しかし斜面途中までは、全く彼の姿が見えず、しばらく時間が経過してからボトムに現れた。「なんて斜面なんだろうか」不安だけが過ぎる。 自分より先に、二人がドロップ。彼らのラインを参考に自分のラインを組み立てる。4番目に自分がドロップすることに。 いきなり50度オーバー、下が見えずラインが全く読めない。考える間も無く、ガイドのアレックスがGOの合図をさっさと出してしまった。行くしかない。思い切って斜面に飛び込んだ。超ステイ−プな斜面、スキーを振り出すのに相当な勇気が必要だ、次のターンのインエッジでうまく斜面を捉えなければ、そのままボトムまで落下してしまう。思い切ってスキーを振り出す。落下速度が速く、一回のターンで大きな落差が出る。同時に大量のスラフが落ちる。どう滑ったのか思い出すことができない。 ボトムではディーンが、自分の滑りを見ている。ワールド・エクストリームチャンピオンの前で無様な滑りはできない。スキーを下に向け走らせる、斜面に対して精一杯抵抗したが、訳の分からないままボトムへ到達。 ヘリのピックアップポイントまで滑り込む。連日の快晴で、標高1000m辺りまで標高を下げると、日の当たる斜面では表面が硬くなり、疲労が蓄積された両脚でスキーをコントロールするのは辛いものがある。 ピックアップの為のヘリポートは、ボトムの氷河の上に、その都度ガイドのピーターが目印になるカラーテープを、持って来た細い小枝に縛りつけ、パイロットから目視できるように雪上にセットする。 氷河は信じられないくらいに広大、そして空は快晴。ヘリを待っている間は、超スティープな斜面で緊張を強いられたことを一瞬忘れることができる。 パイロットからピーターの無線に、次は我々のグループをピックアップすると連絡が入った。暫くするとヘリのエンジン音だけが聞こえてきた。氷河の下流方向からヘリがこちらに接近してくる、上空で高度を下げるため一度大きく旋回して着陸した。プロペラは速度を落として回転を続けている。我々は低い姿勢でヘリに近付く、ザックは座席後方のトランクボックス、スキーはヘリ右サイドのバスケットにガイドが積み込む。 全員のシートベルトを確認し、ピーターがパイロットに親指を立て離陸OKの合図、また緊張が始まる。ヘリは再び同じポイントに着陸、ピーターがスキー、ザックを降ろすのを待つ、そしてヘリから降りその左前方で、離陸時の風で飛ばされないようザックを押さえ、へりが飛び去るのを待つ。 ドロップする斜面は、先程とは異なるポイントらしい。リッジを北側へ向かう。ピーターがROKUに、「Next very steep, are you OK ?」と確認する。「なんで、さっきも50度はあったじゃないか、あれはvery steepとは言わないのか?」自分とROKUは不安になったが、今更戻る訳にもいかない。 標高差はそれほど無く、ボトムにはパウダーが溜まっていて、落下してもそれほどダメージはないと、先に降りたピーターから無線連絡を受ける。 ドロップ、とんでもない斜面だ、とてもターンなんてできない、ターンをし損なえばボトムまで落下する。結局、ズルズルと横滑りで、二回ターンをしただけでボトムへ到着、なんとも情けなかった。 続いてROKUがドロップ。斜面半分を過ぎたところで転がるように落下した。一瞬やばいと思ったが、ボトムはパウダーのクッション、落ちても問題なさそうだ。ROKUには悪いが、落下の光景を見て思わず笑ってしまった。 次のウイルは凄かった。最初からスキーを下に向けてきた。凄いとしか言いようがない。完全に負けた。彼も中間辺りで大破して落下したが、勇気とスキーテクニックには大変な刺激を受けた。 今日も無事一日が終了した。超スティープな斜面を滑り満足したというより、なんとか今日一日を乗り切ったという安堵感みたいなものが、今、自分の気持ちのほとんどを占めていた。 今回の、バルディーズ・ヘリトリップも残すところ、あと一日のみ。 来シーズン、再びこのバルディーズに来るかどうかは、現在のところは考えられない。ここに来るには、金と時間、気力と体力それに勇気が必要になる。 後悔の無いよう明日は攻めたい。 「Ultimate Alaska」につづく |
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| rider Hirose / photo Roku | ||||||||||
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| rider Hirose / photo Roku | ||||||||||
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| rider Will / photo Roku | ||||||||||
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| ここまで来ても携帯チエックのROKU / photo Hirose | landing / photo Hirose | |||||||||
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| photo Hirose | guide Peter / photo Hirose | |||||||||
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| photo Hirose | guide Peter / photo Hirose | |||||||||
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| Will and Hirose / photo Roku | rider Hirose / photo Roku | |||||||||
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| rider Hirose / photo Roku | Dean Commings's ski / photo Hirose | |||||||||
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| rider Will / photo Roku | rider Will / photo Roku | |||||||||
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| pit check, Hirose and Peter / photo Roku | Rutschblocktest, tester Roku / photo Hirose | |||||||||
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| Take off / photo Hirose | Hirose's Pro rider | |||||||||