北海道におけるエキノコックス症

北海道におけるエキノコックス症

北海道におけるエキノコックス症

エキノコックス(多包条虫)とは?


エキノコックス(Echinococcus)は、サナダムシの仲間(条虫)で、本来肉食獣と他の動物(齧歯類や有蹄獣)間で伝播する寄生虫ですが、ヒトへも感染することがあり、重篤な疾病を引き起こします


世界的に重要なエキノコックスには2種あり、単包条虫(学名はEchinococcus granulosus)と多包条虫(Echinococcus multilocularis)です。わが国の北海道で問題となっている種は多包条虫です。エキノコックスは以下のように幼虫と成虫がそれぞれ異なる種の動物に寄生します。多包条虫の幼虫は小さな多数の袋の集塊で出来ていることからこのような名前が付けられました。

この幼虫はヒトや野ネズミの肝臓に寄生し、強い病原性を発揮します。一方、成虫はイヌやキツネなどの肉食獣の小腸内に寄生し、ほとんど病原性は示しません。また、治療法も幼虫と成虫に対するものは異なり、肉食獣での成虫感染に対しては有効な駆虫薬がありますが、人での幼虫感染では外科的な切除が必要です。多包虫症の世界における患者数は10万から30万人と予想されています。

エキノコックス症は平成11(1999)年4月1日 より施行された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」で、四類感染症に分類され、医師が診断した場合「7日以内にその者の年齢、性別その他厚生省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。」疾病となりました。今後、エキノコックス症はさらに患者数の把握が容易になるものと思われます。

 さらに、平成16(2004)年11月よりエキノコックスに感染した犬を発見した獣医師も至急届け出ることが義務づけられ、人への感染源となりうる感染動物の対策が行われるようになりました。



項目 エキノコックスはどのような生活を営み、どのようにヒトへ移るのか

エキノコックスの生態と感染のしくみ

スライドショー

エキノコックスの発育段階は虫卵、幼虫、成虫の三つの段階があります。虫卵は感染した肉食獣の便とともに外界に放出され、周囲の地面や水や植物等を汚染します。つぎにこの虫卵は埃、食物や飲水などとともに動物に経口的に入ると、小腸で孵化し、肝臓や肺などに移行し、多包虫に発育します。「多包条虫」という用語は虫卵、幼虫、成虫のすべての発育段階に共通して用いますが、「多包虫」は幼虫型に対してのみ用います。

幼虫型に感染する宿主動物を中間宿主と呼びます。多包条虫の中間宿主は主に野ネズミ類です。多包虫に感染した野ネズミ類をイヌやキツネなどの肉食獣が捕まえて食べると感染し、寄生虫はイヌやキツネの小腸内で成虫となり、虫卵を作ります。このように成虫型に感染する宿主動物を終宿主と呼びます。

ヒトは中間宿主となり、ヒトへの感染は虫卵の経口摂取によるもので、幼虫が感染している中間宿主をヒトが食べてもエキノコックスには罹りません。また、ヒトからヒトへは密接な接触があっても全く伝播しません。一方、終宿主であるイヌやキツネに虫卵を食べさせても感染しません。あくまで、終宿主から中間宿主へ、中間宿主から終宿主へ伝播します。





メニュー