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CD(ディジタルオーディオ -S/PDIF) エラーカウンタ/ステータスモニタの製作 2001/2/21

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動 作 さ せ る

エラー


簡潔に言うと、「通常の CD再生で、訂正不可能なエラーは(補間処理が行われることは)、まずない」ということが、確認できます。
すなわち、本来あるべきデータは、ちゃんと読めている、ということです。

傷の無い〜細かいすり傷が相当量ある程度のディスクなら、普通の CDプレイヤでの再生において、エラーカウンタは0のまま、全然動きません。 CD-Rでも同様です。プレス盤にせよ、CD-Rにせよ、普通に1枚通して再生しても、訂正不可能なエラーが出るディスクはありませんでした。

あまりにエラーが出ず、退屈なので、2mm幅ぐらいに切った不透明なテープをディスクの信号面に貼ったら、 パラパラとエラーが出ます。このときの再生音はまさに音飛び寸前といった感じで、たまに「ピキッ」といった感じの音が混じります。 もう少し幅広のテープを貼ると、カウンタに「ダーッ」とエラーが観測され、プレイヤのトラッキングも破綻しそうでした。 エラーの出方としては、カウンタがじわじわと1刻みで上がっていくのではなく、いきなりドスンと最低数十の単位で観測されます。(いわゆるバースト誤り)

また、再生中にデッキに強い衝撃を加えると、一気に 100程度のエラーが観測されましたが、再生音に支障はありませんでした。

「エラーが出ない時はまったく出ない。出るとすれば、もはや音質云々ではなく、音飛びするかしないかの状況である。」というわけですね。 CDプレイヤのエラーとジッタの話になるとかならず引用される www.tomoya.comのお話でも、そう書かれていましたが...改めてそれが確認できたようです。 完全訂正されるエラーも、通常の再生においては、出ないに等しいようです。


訂正不可能なエラー(補間処理が行われたエラー)の発生ケース[2001/2/21]

ディスク上にいろいろな「いたずら」をして訂正不可能なエラーの観察を行いました。ディスクはフタロシアニンの CD-Rです。(エラーはサンプル単位

内容程度30秒ごとのエラー数備考
30秒間次の30秒間
何もしない00 
指紋00 
軽いすり傷556 
傷(半径方向)00 
傷(円周方向)長さ 1.0mm(傷個所通過後) 17155「ピキ」音発生
1.5mm-傷個所から再生が進まない
マスキングテープを貼るテープ幅 0.5mm860 
1.0mm6679 
1.5mm*22000*2900010秒に1回程度、「ピキ」音が入る
2.0mm*35000*320005秒に一回程度、「どもり」が発生
セロハンテープを貼るテープ幅 11mm--再生開始せず
黒マジックで線を書く線幅 1mm9772237 
4mm--再生は開始するが前に進まず
レーベル面の十文字カット77677389反射層が傷に沿って剥離

* : カウントが速すぎて正確な値が読めない


指紋
指紋程度の汚れなら、訂正不可能エラーは出ないことが分かります。また、くっきりした指紋ほどエラーは出難いようです。
軽いすり傷
良くあるタイプの傷です。実験ではナイロンタワシにて軽く擦り傷をつけました。僅かにエラーが出ますが、再生音に明らかな異常は認められません。
半径方向の傷
半径方向についた傷は、まさしくエラー訂正の出番といった感じで、完全に訂正されます。
円周方向の傷
半径方向の傷とは逆に、読み取りデータが長期間に渡って得られないため、円周方向の傷には大変弱いです。1.0mm長程度の傷で再生が怪しくなり、1.5mm長になると、 「あいうえ、え、え、え...」といった感じの「どもり」状態になり、そこから再生が進まなくなります。 この傷が円周方向ではなく、斜めになったりすると、ピックアップが傷に追従してしまい、隣のトラックに飛んだりして、いわゆる音飛びが発生します。
マスキングテープを貼る
不透明に近い半透明のテープです。テープ幅が 1mm程度ならば、たいした障害にはなりませんが、1.5mm近くになると、エラーが大量に出ます。2.0mmでは「どもり」が発生しますが、再生は進みます。
セロハンテープを貼る
透明なセロハンテープでは影響は少ないのでは?と思いきや、再生どころか、それを始めることすらできませんでした。 セロハンテープの、セロハン及び粘着剤の屈折率の違いで、レーザーの位相がずれるとか、焦点距離がずれるとかで、全く読み取れなくなることが伺えます。
黒マジックの線
油性の黒マジックで線を書き込みます。1mm幅でもある程度のエラーが出ます。しかし、同じ 1mmでもマスキングテープの 1mmよりエラーが多いのが興味深い。4mm幅になると、再生は開始するものの、00:00:00から一向に前に進みません。 これが、赤マジックや緑色のマジックになると、どうなるのかも興味深いところです。
十文字カット
有名な(?)十文字カットも、おまけで試してみました。「CD反射層に流れる渦電流を無くし、スピンドルサーボの負担を減らす」のが口実の十文字カットですが、www.tomoya.comでも試されている通り、 ジッタが増えるだけでろくなことがありません。この程度の傷なら「エラーは完全に訂正される」はずですが、CD-Rでは、カットした筋に沿って反射膜がめくれ、大きな傷と同様の状態になってしまい、訂正不可能なエラーが発生します。 ただし、「ピキ」音は特に発生しませんでした。プレスCDなら、反射層がめくれることはないでしょうが、そこから湿気が侵入するなどして、ディスクの寿命が著しく短くなるものと思われます。

30秒に数万サンプルもエラーが出るような状況だと、カウンタも動きっぱなし。

「ピキッ」という感じの音は、300サンプルぐらいのエラーがまとめて出た時に発生するような感じです。

CDのエラー訂正能力はプレイヤ側で自由に選べることになっています。例えば四重訂正では、16フレーム(ディスク上の傷で 2mm程度)まで、訂正できるらしいですが、実際の傷の状況によるところも多いようです。


これで、CD再生中に訂正不可能なエラーは起こらないこと、それは CD-R再生においても同じであることが確認できます。 バイナリデータが一致している2枚の CD-Rメディア間の音質差は、 訂正不可能エラーによるものではないということも分かります。

ディジタルオーディオがブラックボックスになってはいけない


そもそも、CD再生時に発生するエラーは、かなり離散的なものです。ディジタルオーディオの音質に影響を与えるものが、エラーそのものによる振幅情報の変化だとすれば、 そのエラーは、人間が聞いて分かる程度に、つまり定常的に、発生していなければなりません。CDプレイヤならば、1秒間に、例えば数 1000サンプル以上のエラーが常に出、補間処理などが絶え間無く行われていたとすれば、 それが音質に影響を与える可能性は大ですが、現実的に発生するエラーは、そのような性質のものではないことに注目しなければなりません。 ディジタルオーディオの音質を変える要因となっているのは、振幅軸よりも、時間軸の揺れ(=ジッタ)の問題です。

少し前までは「ジッタ」というと「また、オーディオマニアのくだらない能書きが始まった」と煙たがられ、オカルト扱いされることもあったようですが...最近になってようやく、市民権を得たように思われます。 それだけ、ディジタルオーディオに対する一般の関心が深まったというのは良いことなのかも知れませんが、一方、「ディジタルでも音質劣化の無いコピーはできない」というのが、強迫観念というか固定観念のようなものになってしまうのは 好ましくないと考えます。ディジタルオーディオの仕組みや、ジッタに対して十分な理解を持たずして、「ディジタルでも音質劣化する」と言うと、また新たな誤解や迷信につながります。

すなわち、ディジタルの本質を忘れてはならない、ということです。「CD-Rにコピーすると音質が劣化する」というのは、ある意味適切な表現ではないのかもしれません。この場合の「劣化」とは、「情報の劣化」(取り返しのつかない劣化)ではない。 いくら「物理的な劣化」があり、ジッタが増大しても、そこに表現されている「情報」には傷がつかない、というのがディジタルの強みです。本質的な情報は劣化しないが、それが、「音」という形に具現化される段階で、 ディスクの偏芯・ぶれ・ピットの状態・反射率変化、サーボ電流の変動、電源安定度、ノイズ、クロック安定度、振動...などなど、枚挙にいとまが無いアナログ的要因が影響し、音の違いとなって現れます。しかし、「音」が「データ」として扱われている 限りは、(エラーや、妙な演算が行わなければ)情報は劣化しない。ディジタルの本質です。ジッタの多い CD-Rからでも、データさえ正しく読めれば、それを新たな媒体(CD-Rでも DATでも固体メモリでも)に再構築することにより、前の CD-Rよりも より良い状態になり得ます。ディジタルオーディオを正しく理解していれば、「WAVデータを、IBMの HDD → FJITSU → IBMとコピーしたら音が変わった」などという話の真偽も、自ずと分かるでしょう...


さて、では、エラーと音質が無関係なのかといえば、そうでもありません。読み取りエラーが起こることに付随する要因が、間接的に音質に影響を与えています。 (訂正されてしまう)エラーでも、また、エラーそのものが起こらなくても、数々存在するアナログ的な不安定要素に対して、プレイヤはそれに追従しなければなりません。 系の破綻を防ごうとする制御で、ピックアップやスピンドルモータのサーボ電流が激しく変動し、それが電源ラインや GNDを伝わって、 或いは輻射となってアナログ回路に回り込んだり、クロックを汚したりします。サーボを強くかけすぎると、逆に傷に弱くなったり、 上記の理由でサーボ電流が荒くなったりして音質劣化が起こるという話もあります。(かといって弱すぎてもディスクの偏芯や面ぶれに追いていけない。)

(以下、私自身、知ったばかりで、知識不足/誤認識があるかも知れないので、声を小にして...こんな話もあるよということで...)

ノイズの他回路への回り込みを防ぐには、物理的に隔離すればよいはずです。 ディジタル回路とアナログ回路を電源から分離している CDプレイヤは、ざらですが、更に駆動系の電源ラインも分離すると、良さそうな気がします(改造のポイント?)。 だとすると、CDトランスポート+DACが最良なのかといえば、S/PDIFのような接続方式では、別な問題が発生する、というのです。 データとクロック(各種同期信号含む)をまとめて、一つの信号として送る、S/PDIFのような接続方式だと、 DACはそこから抽出したクロックで動く訳ですが、そのクロックを伝送・抽出する段階で、クロックがデータにより変調を受けやすく、ジッタとなってしまいます。 ジッタには信号相関(データにより周波数成分が変動する(=音楽信号と相関がある=信号相関の歪み発生))のものと、そうでないものがあり、聴感上、特に有害なのが前者の 信号相関のジッタだといわれています。S/PDIF信号から復調したクロックには、このタイプのジッタが乗ってしまい、甚だ良くないというわけです。

では、FIFOをバッファにし、受けた信号から抽出したクロックではなく、独自に生成したクロックで DACを駆動すればよいのでは...という非同期式の発想が出てくるのですが、 お互いの機器の、クロック周波数の微妙な違いによる同期ずれの問題があって、簡単にはいきません。(実現している高級品も、もちろんある)  となると、クロックとデータを最初からまとめず、分離して伝送すようなインタフェイスが有望になってきます。方式としては新しいものでも何でもありませんが、 現状の民生用ピュアオーディオインタフェイスで、そのようなものは浸透していません(そのようなインタフェイスも存在する)。 アマチュアレベルでも、実践しておられる方もいらっしゃるようです...

さて、S/PDIFの問題点に着目すると、

これらは根本的な解決にならないことが伺えます。(しかし、だからといって、価値が無いのかといえば、そうとも限らないはず。後者などは面白そう) 「メモリ(DRAM)にためると、リフレッシュのノイズが...」とか「水晶自体の精度が...」とか、こういった議論は、ともすれば机上の空論となり、 「バカにされがち」です。それよりも、回路パターンや部品の実装、配線の引き回しなど、実装面で、もっと詰めるべきことがあるのも事実。

いずれにせよ、ディジタルオーディオは、俄然、いろんな問題をはらんでいることは確かなようです。そして、そこが面白い。
「確かに変化はあるかもしれない。でも普通の人には雲の上の世界だ」というのは別として。しかし、ひょっとすると、「俺の耳では、聴いたって分からん」と主張していたのが、 いざ、音を聴いたら意見が 180度変わってしまうような性質の、大きな問題ばかりなのかも知れないのです。高度化するディジタルオーディオがブラックボックスにならないためにも、 迷信に惑わされないためにも、その恩恵にあずかる側には、正しい知識と理解が求められることは間違いありませんね。


チャネルステータスビットの様子


いろいろな機器につないで、チャネルステータスビットを見てみました。

CD00000000100000000000000000000000
MD(再生時)00000000100100100000000000000000
MD(録音時/ADCモード)00000000011000000000000000000000
DVD(AC-3出力)01000000100110010000100001000000
PC(SB Live!)00100000010010010000100001000000

必ずしも、上のような表示になるとも限らないようです。
PCのディジタル出力は、カテゴリ的には「ディジタルミキサ」になるんですね。


Fs精度


Fsのオフセット値(ジッタではない)は、上のどの機器も、±400ppm( <20Hz at Fs:48kHz)に収まっていました。



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