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ハンダマニアックス 2000/11/16改訂 サブウィンドウ(メニュー)を開く


2.ハンダの性質

Sn-Pb比によって特性が変わる!

ハンダの状態図

Sn-Pb系のハンダは、すずと鉛の比率によって、特性にどんな違いが出てくるのでしょうか。

状態図

左の図はSn-Pb比によるハンダの状態図です。
α固溶体というのは、Pbに Snが 約 20%溶けて飽和したもの、
β固溶体というのは、Snに Pbが 約 2.5%溶けて飽和したものです。

この図で重要なのは Sn=61.9%,Pb=38.1%の共晶点ですが、それは置いておいて、まず共晶点以外を見てみましょう。
Sn=61.9%より低い場合、液体の状態から冷却していくと、α固溶体が析出し始めます。そうすると、固体化した部分の Pbの含有率が低下 (=Sn含有率が上昇)し、結局、共晶点に近づく形で固体化が進みます。逆に、Sn=61.9%より高い場合は、β固溶体が析出し、Pbの含有率が上昇 (=Sn含有率が低下)し、共晶点に近づく形で固体化が進みます。 これはどういうことかというと、固体化が進む中で、ハンダの組成が変化しているということです。

すなわち、全体の固体化が完了したときには組成が均一ではなくなっているということになんですね。
結晶の組成の均一・不均一は、次で示す機械的強度などに効いてきます。



共晶ハンダ

ハンダの状態図において、Sn=61.9%のとき、これが共晶点です。このとき、ハンダは直接、液体←→固体と変化します。 この性質が共晶ハンダの性格を決めています。

まず、温度が、183℃になれば完全に液体になりなす。ゼリー状の半融解状態が無いため流動性が高く、サラサラしているので、 小さな部分や込み入った部分のハンダづけも楽です。
また、温度が下がれば即座に固体化するので、ハンダが固まるまでリード線を支えていたらやけどした、という事態も減ります。 共晶ハンダでないハンダは完全に固まるまで少々時間がかかるので、それまでの間、部品を手などで固定していなければなりませんが、 その間に部品に熱が伝わり熱い思いをします。ヒートクリップを使えばいいんですけどね。また手で支えなくとも、固体化するまでの 間に部品がずれてしまうこともあるものです。手だって震えます。 共晶ハンダ以外は、ゼリー状の状態を経る訳ですが、このときに部品が動くと...結晶がめちゃめちゃになり 強度低下・剥がれなど、トラブルの原因となることはもちろん、電気的にも好ましくありません。

固まるまでハンダをかき回すことは、見映え云々のためもありますが、それより信頼性の低下につながるので、極力避けなければなりません。 共晶ハンダはその点も有利で、作業性が良いということになります。

機械的強度

共晶ハンダの性質は、作業性だけでなく、物理的特性にも効いてきます。
共晶ハンダには、前に書いたような、組成の不均一が起こりません。すると、機械的な強度も上がります。右の図を見てください。 Sn=61.9% 付近では、せん断強さ、引張り強さ、対衝撃性が高い。また、伸びが少ないことも特徴です。

一見、基板のハンダづけに強度は関係無いかもしれませんが、機器を落としたりして衝撃が加わったときや、振動する場合、 無理な部品の実装でリード線にストレスがかかっているような状態、などではハンダが割れたり剥がれたりしますので、信頼性に関係してきます。


共晶ハンダは結晶が均一だということで、オーディオに使った場合、音質的に好ましいのではないか?と淡い期待を抱いてしまいます。 某オーディオ誌に、"ハンダの音質テスト"という非常に興味深い記事がありました。 そこでは共晶ハンダは、可も無く不可も無しといった感じで、大きなインパクトはなかったようですが...


ハンダのつき安さ

濡れ

濡れは、ハンダづけにおける重要なプロセスの一つで、ハンダが金属表面になじむ事をいいます。
濡れやすさというのは、いわばハンダの広がりやすさ、なじみやすさのことです。 ハンダのノリが良いとか悪いとかは、この濡れやすさのことをいっているんですね。

濡れの測定

濡れやすいとか濡れにくいとかは、定量的には、図のように液体のハンダが母材に接触したときの角度で計ります。 この角度は、ハンダとフラックス、ハンダと母材、母材とフラックス、それぞれの界面張力が影響し合って決まります。

θ<90°であれば ○であり、20°前後が最適といわれます。
θ>90°で、ハンダが玉のようになれば、×であり、良いハンダづけではありません。 原因としては、母材の汚れ・酸化、フラックス不足、ハンダの温度不適切などがあります。

また、似たような尺度として「広がり係数」というのもあります。球形のハンダが、溶解後、どの程度広がって、高さが低くなるかを 見ます。





金属によるハンダづけの難易



すず
黄銅
ニッケル
亜鉛
ステンレス
クロム
アルミニウム

ハンダづけの対象は、基板や導線の銅以外にも、すず、金、銀等のメッキ部品など様々なものがあります。
金属によってハンダづけのしやすさ 〜濡れやすさ〜は変わってきます。濡れ角を決定する界面張力のうち「ハンダ−母材」に働く界面張力が、金属により違うのと、 酸化膜の強度が違うためです。具体的には左の表のような感じになります。

すず、金、銀はハンダと親和性が高いです。部品のリード線などのメッキに使われる理由も分かりますね。 経験的にも、ニッケル、亜鉛、ステンレス、クロムメッキなどが施されているもの(例えばナットをケースにハンダ付けしたい、など)はハンダづけがしづらいです。
アルミ板をハンダづけしようとしたことはありませんか? 一寸ついたように見えても、全くついていず、結局表面をフラックスで汚して終わり。 それもそのはず、アルミは普通の方法では極めてつきにくいんですね。が、超音波半田ごてなるものを使えば容易につけられるようです。 また、アルミにも使えるハンダ、 日本アルミット KR-19 を使う手もあります。

米軍規格 MILに適合するという、つわもの。100g1000円ぐらい。

さて、ハンダがつきやすい、すず、金、銀、銅なども、表面が汚れていたり酸化してしまったりすると、ハンダをはじいてまったくつかないという事態になります。 セメント抵抗などのリード線などは、酸化して黒くなっているのを良くかけます。 そういった部品はハンダづけの前にリード線を磨いておくことが必要です。ティッシュで乾拭き、ひどい場合は無水アルコールをつけて拭くと良いようです。 しかし、「それでは」と、リード線をヤスリがけなどをしてはいけません。せっかくハンダづけしやすいように施されているメッキが薄くなり、下地との合金層が露出すると、 ハンダははじかれ、全然付かなくなります。こうなると手に負えません。更に削って合金層も無くすというのは、どうか...


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