第3部2日目その2
ダンマクが有りそうだぞ!
と、色めきたっていたのは最初だけ、車は徐々に郊外へ。民家もまばらになってくる。
そして、この行程あたりから、ガイドの発言が怪しくなってくる。
「盗んだのがサポーターじゃないから、ダンマクは破られてるんじゃないか」とか「服にされてるんじゃないか」とか、やたら具体的な事を言ってくる。
このときは、そんな発言の真意を追求する思考が働かないほど、とにかく車窓から外を探し続けていた。
そして、結局何も発見できないまま再び空港へ戻ってきてしまった。
「ドライバーお腹ぺこぺこね」
片言の日本語しか話せないのに「お腹ぺこぺこ」っていう言葉は知ってるんだな。
ということで、ドライバーの食事休憩。俺達はロビーで待機。
10分もたたずに帰って来るドライバー。満足げに楊枝で歯をシーシーしてる。
早いな、何食ってきたんだ?
すでに手詰まり感のある捜索に、ガイドは新聞に公告出して探そうとか、張り紙をして探そうとか、案を出してくれる。しかし俺達は滞在中に何としてでも見つけたいのだ。
その後ガイドは携帯電話片手に奥の方へ行ってしまった。
俺達がダンマクを探しに来たというのは、すでに空港にいる他のガイドにも広まっている。興味津々で近づいてくるガイドに、いちおうダンマクの写真を見せて聞き込みをしておく。
返ってくる答えはやはり同じ。
「試合を観に行った時にダンマクを見たのを覚えてるよ」
「良いデザインだな」
あの試合を観に行ったガイドが多い、
この中の誰かがダンマク持ってんじゃないのか?
と、疑いたくなってくるよ。
「横浜は良いチームだ、ACLは勝ち上がったのか」
って、痛いこと聞かれた。マカッサル以外のチームには興味ないんだね。
「今何位だ?」
とかも聞かれた。そんなことはどうでもいいよー。
ちなみにマカッサルは東地区1位だそうで。来年また来ることになるのかなー?
さすがにお疲れ気味です。
再び空港から市内へ。
もうすぐ日没なのでこのままホテルに行ってチェックインすることにした。
市内までの間も民家の屋根を探し続けるが徒労に終わる。いい加減、目が疲れてきたよ。
この帰りの車内から、ガイドの発言がさらに具体的になってくる。
「ダンマクは1枚でもいいんですか?」
「半分だけでもいいですか?」
このときも精神的に余裕はなく、
「1枚でも半分でも何でもいいよ」
と、答えるに留まった。
ホテルに着いてチェックイン。今回のホテルはImperial
Aryaduta Hotel。
前回泊まったクオリティホテルのすぐ近く。
時刻は6時20分。
ここでガイドは、広場に友人に会いに行って、20分後に戻ってくると言う。
とりあえず部屋へ行って、荷物を置いてくる。
20分たったので、待ち合わせのロビーへ。
しかし、いつまで経ってもガイドが現れない。
そんな隙にも現地民に聞き込みだ。
この方は英語が話せないそうです。
ガイドが現れる気配がないので、夕暮れのテラスに出てマッタリしてみた。
優雅すぎるシチュエーション、やっぱり海外旅行はこうでなくっちゃ。
しかし、いっこうに現れないガイドに、だんだんと不信感が募ってくる。
「そういえばさっきの車内で、やたら具体的なこと言ってたよね」
「実はあいつがダンマク盗ったんじゃないの?」
「最初の頃より日本語が話せなくなってきてるよね」
「気まずいことは分からないふりしてるんじゃないの?」
「目が腐ってるよね」
「クサレガイドだ、クサレ」
もう言いたい放題。
そして、今後の事を考えると気分が重くなってくる。
やはり滞在時間30時間ほどでダンマクを探そうっていうこと自体が無謀なのか?
屋根に干してあるんだから、すぐに見つかるだろうと楽観的すぎたのか?
そもそも2chの書き込みを頼りにしたのが無謀なのか?
明日の行動はどうしようか?
このままダンマクが見つからないまま帰らなければならないのか?
二人ともものすごい低いテンションでグッタリとしていた。
「諦めたらそこで試合終了だよ。ロスタイムまで何が起こるかわかんないよ」
と、無理やり気分を奮い立たせていた。
待ち合わせに遅れること40分、7時20分になってようやくガイドが戻ってきた。
「ダンマク見つかりました。1枚と半分だけね」
なにぃ〜!!
門旗曰く、このときの俺のテンションの上がりっぷりは凄かったらしい。
さっきまでクサレクサレ言ってたのにw
マカッサルサポーターのリーダーと連絡がついたらしく、その人がダンマクを持っているらしい。
『YOKOHAMA HEADS 12』と『GOD Speed Yokohama』の半分。
これからその人を連れてくるのでホテルで待っててくれとのこと。
この時になって、ようやく気付いた。
さっき空港で電話していたのは、このことについでだったのだ。そして空港の時点でダンマクの所在が分かっていたに違いない。だからあんな具体的な質問をしてきたのだ。
早く言えよ!
ただし返してもらうにはお金がいるとのこと、それくらいは覚悟の上、ある程度は仕方がない。
早速ホテルのビジネスセンターへ行って、ネット。mixi日記でこの事を身内に報告。
ここで、まっきぃさんの
マカッサルにある広場に行けば、PSMの練習場があります。
その周りにはサポーターのおじさん達がいつもたむろしていると思うので、そこで情報収集すればいいのでは?
という書き込みを始めて読んだ。タイミング悪すぎ。
お腹も減ってきたので、先に食事をすることに。
ホテルの近くの屋台でミーゴレンを食べる。
このミーゴレンが辛い辛い。辛いものが苦手な俺は完食できず。
ここで、支払う金額を相談し、上限は30万Rpということに決めた。
ホテルへ戻る。8時過ぎに部屋に電話が、どうやら到着したらしい。
いちおう交換用として、タダで配られたANAシャツを持っていくことにする。
ドキドキしながらエレベーターでロビーへ。そこにはガイドと、見知らぬ中年男性が一人。
その男性はPSMマカッサルのオフィシャルの人らしい。
何でオフィシャルの人が居るんだ?と思いつつ握手を交わす。そしてロビーの椅子に腰掛ける。
会話もなく微妙な空気が流れている。
サポーターのリーダーは?ダンマクはあるの?
ここでガイドが口を開く、
「ダンマクあります、行きましょう」
なんだよ、この微妙な空間はなんだったんだよ、プチドッキリか?
それにしてもサポーターのリーダーがいない。
聞いて確認してみると、このオフィシャルの人がサポーターのリーダーでもあるという。
??
マリノスでいえば、佐々木さんがサポのリーダーをやっているようなものか。よくわからない世界だ。
ホテルの駐車場に止めてある車へ、トランクを開ける。
ダンマクあったぁ〜。
早速広げてみる。
まさしく3月の試合で盗まれたダンマク!4ヶ月経った今、本当に再びお目にかかれるとは。不覚にもちょっと感動してしまった。
さあ、問題はここから。交渉のためにロビーへ戻る。
ロビーのソファーが空いてないと分かると、なんのためらいもなくラウンジへ。
ここの料金も払わせられるのか…。
まず、「マカッサルのサポーターが申し訳ない事をした」との謝罪。罪の意識はあるんだな。
ダンマクの写真を見せて確認するも、他のダンマクの所在は分からないらしい。
さあ、問題のお金ですよ、果たしていくらふっかけてくるんだ?ガイドの口が開く、
「じゃあ、200万払ってください」
に、にひゃくまん!?
予想外の金額に思わず驚く。しかもガイドは当たり前のようにサラっと言うし。
もちろんそんな金は持っていない、払いようがないし、そもそもそんなに払う気はない。
もっと安くしてくれと言う。
「何故ですか?大切な物にお金払うは、当然です」
「あのねー、これは盗まれた物なんだよ、もともと俺達のものなの」
このガイド、俺達がダンマクを失くしたと思っていたらしい。確かに説明する時にlostとは言ったけど。で、その失くしたダンマクを預かっていたっていう感覚だったみたい。そんなわけねぇだろ!
なんでも、サポ同士の間で、いろいろと連絡を取り合ってダンマクを探したらしい。だから多くの人の手間がかかってるから、リーダーから皆にお金を払わなければいけない。とも言われた。
でもそんなの知ったこっちゃない、30万にしてくれと言う。
返ってきた答えは40万。いきなり五分の一かよ。
それ以上は値下げする気はないらしく、今後に遺恨を残すのも良くないと思い、しぶしぶ40万支払うことに。
そして話は新たな展開へ、新聞に広告を出すために、今から新聞社へ行くということになったのだ。
滞在中にできる事はしておこうということで、新聞社へ行くためにラウンジを出る。
当然のように金を払わないガイドとオフィシャル兼サポリーダー、コーヒー代12万也。
車でホテルを出発。
途中、まったく人気も明かりもない裏道を通った時は、このまま拉致られるんじゃないかと思った。
車の中でガイドに大学の名前や学部を聞かれたが、シークレットということで一切話さず。なぜなら嘘だから。こっちの人は大学とかきにするのかね?
で、着いたのがここ。
ここが新聞社なのか?と思ったら、庭のようなところに数名の人が。
次々と握手を求められ、そのまま庭で椅子に座ってインタビューが始まった。
黒い人が記者で、白い人はガイド。
このガイドはホントに片言の日本語しか出来ないので、英語も交えつつ話をするが、なかなか進まない。
とりあえず聞かれたこと。
・なぜ取り返しに来るほどダンマクが大切なのか?
・自分の金で来たのか?
・なぜ3月の試合の後すぐに探さなかったのか?
・三ツ沢で『ダンマク返せ』ダンマクを出したのに、なぜその後すぐに来なかったのか?
・ダンマクが見つからなかったら、どうするのか?
等。
ここで門旗から名言が生まれる。
「自分たちで作った、チームのためのダンマクはPride of YOKOHAMAだ」
だから大切なものだし、わざわざ取り戻しに来たんだ。
あと、三ツ沢のダンマクのことは記者の人も知ってた。その理由は後ほど明らかに。
でも、実際はきちんと伝わってるか微妙なインタビューだった、こっちの言ったことも、向こうの言ったことも。
自分の英語力のなさを実感したね。
インタビューが終わると、これから会社に行って写真を撮らせてくれという。
なんだ、やっぱりここが会社じゃなかったんだ。
もうここまでくればなんでもしてやる。
と、その前に食事をしようということになり、近くの屋台へ。
俺と門旗はお腹がすいてないので飲み物だけに。
ここの食事代も払わせられるかと思ったけど、それはなかった。オフィシャル兼サポリーダーが払ってた。きっと40万の中から出したに違いない。
再び車で移動、やってきたのはTribun Timurというスポーツ新聞社。
3月の試合のときに、
この記事を書いた新聞社。
中へ案内される。
オフィスは夜も忙しい。
会議室に通され、再びインタビュー開始。それをカメラマンが撮影していく。
聞かれたこと。
・なぜ新しく作らないで探しに来たのか?
・作るのにかかった時間は?
・横浜のサポーターグループはいくつあるのか?
等。もうはっきり覚えてない。
途中で社長が登場しつつ話は続く。
またしても大学や学部を聞かれるが、シークレットで押し通す。学校サボってきたから、と言い訳すると理解してくれた様子。
ここで、5月の三ツ沢での試合の話になった。その時の記事がこれ。
見出しの訳(直訳なんでニュアンスが違うかも)
マカッサルで失ったマリノスのダンマクを探している
この記事は日本に留学しているインドネシア人学生が書いたものらしいが、三ツ沢で『ダンマク返せ』というインドネシア語で書かれたダンマクがあったのに驚いて記事にしたそうだ。
しかも、この試合は現地で放送され、多くの人がTVに写ったこのダンマクを見て驚いたそうだ。
思った以上に効果があったみたい。
そんなこんなでインタビュー終了。ダンマクの写真を載せてくれる事を期待しつつ写真を預けて、オフィスを後にした。
ホテルに帰る道中、明日記事になった新聞をホテルへ届けてやるから要るか?と言うので、欲しいと答えると、100部届けてやると言う。
さすがにそんなにいらないので、とりあえず50部にしておいた。もちろん有料。
ようやくホテルへ戻ってきた。長く密度の濃かった一日も終わろうとしている。
まずmixi日記で簡単に説明してから部屋へ。あまりにもいろいろなことがありすぎたんで、二人して観戦記用にメモを取ることにする。
横浜門旗の観戦記の面白さの秘訣が分かったような気がしたよ。
あまりの疲れから、メモを取りながら寝てしまう門旗。俺も疲れたので、そのまま就寝。
とりあえず最低限のノルマが達成できて良かった。