![]() 「お前は、わしが守る。命に代えても」 ――竜撃士 竜撃甲とは、ガルナス帝国で用いられる個人強化戦闘装甲である。より正確には、<竜撃大筒>と竜撃士の肉体内の<怒根丸>で構成される高機動・高精度射撃システムをさす。<竜撃士>とよばれる武人階級のガルナス・ダガンのみが扱うことができる。 竜撃甲は、通常は、<竜撃大筒>(りゅうげきおおづつ)とよばれる火砲形態をとっているが、武魂が最高に達すると、使用者の全身にうめこまれた<怒根丸>と呼応し、怒張・展開させて、竜撃士の全身をまとう強化戦闘装甲となる。これを<怒甲形態>という。 怒甲形態は、アラガミ師のような爆発的な能力変化はないが、敵の弱点を高精度で攻撃し、高速機動により敵弾回避する能力に優れる。 ●1−1、ガルナス・ダガン ガルナス・ダガン(以下、ダガンと呼称)は、共榮圏最大の軍事国家<ガルナス帝国>の支配階級たる爬虫人類である。かつて、汎銀河文明時代に、バラナス帝政聯合という銀河軍事国家を結成していたバラナスという種の遠い子孫であるといわれ、いまでも、好戦的で直情径行な性質の者が多い。 ダガンは、男女ともに、平均身長2メートル、体重100キロになる。体表は、鱗およびフレーム状の外骨格に覆われ、屈強な体躯を誇る。男性のほうが、頭部の突起物が発達する傾向にある。代謝は、メイ同様、内温性であり、哺乳類系種属に比べて劣る面はない。 成長速度、性成熟年齢、寿命は、三龍人(地球系人類)とほぼ同じである。 性成熟したダガンは、おおむね一夫一婦制の婚姻を行い、女性が産卵する。男女ともに、発情期は3年に1回訪れ、女性は一度に1〜2個の卵を産む。抱卵する必要はなく、適度な水分と温度をもった保育器のなかで一月ほど保護されると、幼体が誕生する。繁殖力は弱く、富国強兵がガルナス帝国の基本的な国策である。 ダガンは、一般的に、情熱的で、単純な性質の者が多い。根っからの武人であり、こみいった策や、繊細な作戦は苦手とする。他国の人間と会話するときは、やや古語めいた独特の共通語を操る。また、ダガンは、血縁や、戦友への情に厚い点も特色である。 国家としてのガルナス帝国の建国は、天世歴300年代末期にさかのぼるといわれるが、この時代については神話と史実が混乱して記録されており、正確な年代はわからない。 その頃出現した、強力な竜撃甲をまとった武将ザルケン・グアナが、共榮圏西部海域の島嶼に散在していたガルナス各氏族を統一し、初代ガルナス帝国皇帝を僭称したとされる。ザルケンは、ウミアガニと連合水軍を結成することで海軍力を強化し、広大な版図を手中におさめ、ガルナス帝国の基礎を築いた。 また、ザルケンは、支配下に置いた島嶼王国各国に、貿易特権を認めた。加えて、そのころ建国された三龍帝国とも盛んに貿易を行い、帝国の勢力を増していった。 第三代皇帝マグラス・グアナは、その頃から共榮圏に移入していた天魂の積極保護政策をとった。すなわち、帝国の各王国において、領主に天魂の保護を命じたのである。これは、竜撃甲を使用すると「生命」を激しく消費するというダガンの軍事的欠点を補うための政策であった。すなわち、天魂のもつ高い治癒能力が軍事的に有効と考えられたのである。 三龍帝国との円熟した海洋貿易の結果、中世の停滞的繁栄ともいえる状況にあったガルナス帝国の内情は、天魂の保護政策をとったことで、さらに混迷の度を増していった。当初の狙いと異なり、天魂の魅力に惑わされた各国領主ダガンが、国費を王室天魂の養育に浪費する事態が続出したのである。王国によっては天魂の育成費のため臣民に重税を貸し、内乱状態を招いたほどであった。 徐々に帝国にほころびが生じるなか、グアナは、究極の天魂を捜し求め、白緑(びゃくろく)という天魂を発見し、宮殿に招き入れる。白緑の育成に熱をあげたグアナは、次第に、国政までも白緑の言われるままになすようになっていた。 そのころ、当時のガルナス帝国の東方海域を支配していた強力な宗教国家<ガーグ宗王国>という国があった。ダガンとは異なる、メイという鳥類型爬虫人類による軍事国家である。ガーグ宗王国は蘇竜機の発掘とその復元技術を保持しており、蘇竜機を主軸にすえた強力な軍隊を保有していた。 天世歴510年。突如、ガルナス帝国は、ガーグ宗王国に侵攻を開始する。白緑の色香に惑い、ガーグ宗王国の併合を唆されたグアナの決断であった。今日の歴史学者によれば、白緑は、最初から、メイのもつ蘇竜機を手中にすることを目論み、ガルナス皇室に接近したのだといわれている。 メイの王室に密かに伝わるという<龍王機>を手に入れれば、再び、星界へ戻ることが出来るかもしれない。創造主に顧られる事の無かった天魂という種属の哀しい情熱が、大国間の紛争を招いたともいわれる。 戦時国際法のない時代に、蘇竜機と竜撃甲という、星界時代の超兵器を保有する軍隊どうしの戦闘が行われた結果、この<第一次ガーグ戦争>は酸鼻を極めた。一説によると、死者は100万人を下らないといわれる。 ガーグ戦争は、522年に終戦を迎える。戦費の増大に耐えかねたガルナス臣民と、浸透工作を行ったメイの地下組織による反乱が領内に生じたためである。 三龍帝国は不介入の態度を貫いていたが、この段階で和平交渉を斡旋し、ガルナス帝国とガーグ宗王国の間に停戦協定が結ばれた。このとき、ガーグ宗王国は、国土面積の10%を戦時賠償としてガルナス帝国に割譲している。 新たな皇帝を立てたガルナス帝国は、三龍帝国、アガニ聯合王国との関係を深めていく。中世期、ガルナス帝国は幾度もファーグニル連合による侵攻を受け、防御戦闘で三龍帝国などと協力することで、自然発生的に、三龍共榮圏が形成されていった。 特に、1476年の<第40次一斉侵攻>では、ガルナス帝国帝都にまでファーグニル連合海軍の艦砲射撃が降り注ぐほどの激しい戦闘が展開された。進退きわまったガルナスは、ガーグ宗王国に対してまで援軍を要請するが、過去のしがらみから、にべもなく拒否される。 かけつけた三龍帝国軍のアラガミ万騎隊およびアガニ万騎隊の活躍により、ファーグニル艦隊は大損害を受けて撤退する。おさまらなかったのはガルナス帝国である。 1490年、ガーグ宗王国領海付近で、トオミ属が、深海に眠る巨大な天航船の遺跡を発見。その一報は、共榮圏諸国を瞬時に駆けめぐる。これが新たな紛争の火種となることを恐れたトオミ神官らは、三龍帝国およびアガニ聯合による査察団を拒否した。 結果として、トオミ属は、三龍帝国とアガニ聯合による武力攻撃を受ける。この<深海戦争>では、アマミツヨ史上最大規模の、アラガミ同士の海戦が展開されたという。 ここでトオミとアガニ・三龍帝国の和平交渉を斡旋したのがガルナス帝国である。その背後には、天航船の技術を確保しようという白緑家系の天魂の暗躍があったといわれる。 和平交渉の結果、天航船の研究成果は三龍帝国とガルナス帝国で二分することとなった。しかし、当然のことながら、領海付近で発見された天航船について、ガーグ宗王国が所有権を主張した。彼らは直ちに空中戦艦をふくむ艦隊を派遣し、天航船が発見された海域を海上封鎖する。 これに対しガルナス帝国は、その海域に派遣されていた自国海軍の「正当防衛のため」、1476年に、ガーグ宗王国が軍事援助を行わなかった責任を追及した。侵略に対する集団的自衛権を定めた共榮圏憲章を盾に、ガルナス帝国は、ガーグ宗王国の相互援助義務の違反を主張し、その賠償として、ガルナス帝国はガーグ宗王国を「合法的に」併合したのであった。 結果としてこの併合は戦火を招く。第二次ガーグ戦争(1490〜1500年)のはじまりであった。戦争は多くの死傷者を出し、膠着状態に陥った。その後、1500年の<第41次ファーグニル侵攻>を迎撃するため、戦争はなし崩し的に終戦をむかえ、ガルナス帝国とガーグ宗王国は同盟軍として防御戦闘を展開する。 これ以後、ガーグ戦争の記憶を忘れないため、両国間に共通の神聖な宗教行事<萌芽祭>が、年に二回、催されるようになった。両国の中立海域である央天青において、両国の使者が集い、互いの神に、蘇竜機や竜撃甲による演舞や模擬戦闘を奉納するのである。この交流は、次第に、それぞれの同盟種属(メイは星覇、ダガンは天魂)との絆を確認する行事としての色彩が強くなっていった。現在では、おもに、星覇や天魂の素晴らしさを讃える絵草子や歌曲を各国領主が奉納し、その技術を競い合う場となっている。メイとダガンの情熱により、萌芽祭の日は、雨季の最中であっても必ず晴天となるという伝説がある。 その後、アマミツヨ近世、シンテツを迎えたガルナス帝国は、竜撃士以外の通常戦力を大幅に強化、今に至る。今なお、ガーグ宗王国は国際的には承認されておらず、メイはガルナス帝国の臣民とされている。国内に火種をかかえたまま、現在もガルナス帝国は、共榮圏随一の軍事力を誇示しているのである。 ●1−2、竜撃士の戦術 怒甲形態をとった竜撃士は、軽装甲車輛ていどの防御力と、共和連合の高速車輛に匹敵する機動力、そして精密射撃能力を獲得する。 その性能から、高速での一撃離脱戦闘を得意とする。装甲が薄いため、正面火力で敵とわたりあう戦術には向いていない。 ![]() ガルナス大型種。かれらが竜撃甲をまとう。 略 |
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