三龍帝國、おもにPCの冒険の舞台となる央天青近辺での年中行事をあげていく。直接的に遊戯のネタになるものではないが、こうした社会背景もふまえて演技したりシナリオをつくると、より深みが増す……かもしれない。 文中ではわかりやすくするために四季があるようなことを書いているが、実際には共榮圏は熱帯気候なので、便宜上、そうした季節の名称が残っているだけである。 なお、祭りなどの行事は、とうぜん地域ごとに細かい違いがあるし、種属によって受け取り方や温度差もあるので、その点には注意が必要だ。たとえば、ある種属の戦勝記念日は、敗北した種属にとっては屈辱の日なので、何も祝わないはずである。また、GMは、ここの情報を参考として、新たな祭祀を創作してもよい。 地域色の強い祭祀では、「秘祭」とされていて、部外者や観光客の見学を禁じている場合がある。うかつに関わると現地人から危害を加えられることがあり、現地のしきたりを尊重するよう、ウツロヒは注意するべきである。無人島がまるごと御嶽(うたき)とされていて、部外者の上陸すら禁じられている場合もある。 帝政大三龍共榮圏の祭祀 ファーグニル歴ではなく、天世歴によって行われる。同じ行事であっても、地域や種属によって、呼び名、祭られる神の名称、内容などが異なることが多い。とくに大事な祭りの日は、その地域では休日になっていることもある。 祭りの起源や内容は、伝承や戦史に由来するもの、異国から伝来したもの、五穀豊穣や豊漁を祈願するもの、天魔除け、先祖供養、厄払い、などがよくみられる。地域における祭りでは、地元のツカサ、すなわち行政官たるアラガミ師が、現地の集落にある「御嶽」(うたき)にて神事をとりおこなう。 これらの祭りにおいては、たいてい「天魔」や「キョウコツ」が邪神とされ、色々な生物や自然物にやどる精霊が祀られる。祖先崇拝も行われており、村の一角に墓地があるのが普通。一部の地域では、いまだに風葬や、竜葬が行われている。とくに戦死した者は、祖先崇拝のなかでも別格として手厚く祀られる。 また、各地に点在する、マガツの化石(撃破された遺骸)は、絶対的な信仰をあつめ、その遺骸がある場所が御嶽とされ、集落がそこを起点として築かれることすらある。蘇龍機やシンテツの残骸も、祭祀の対象となることが多い。一般に、軍事作戦中に死亡した者に対しての崇拝の念が強い傾向にある。 正月 正月に行われる行事である。地域や家庭によってしきたりが異なる。たいていは、一族であつまり、共同体の墓地および神棚に、米、高級ミーバイの干物、祖先のアラガミの骨などをお供えし、新年を祝う。当地のツカサは御嶽で祈りをささげ、オモロ(古代の神歌)を謳う。 三吼節 さんこうせつ。春におこなわれる先祖供養の行事。もともとはダガンの支配階級で行われていた先祖供養の祭祀が、三龍帝國に伝来し、共榮圏にひろまったもの。三甲墓(さんこうばか)など、三龍帝國独特の墓の前に親族一同で会食をし、にぎやかに舞い踊る。死者の追悼でも賑やかなのが三龍帝國風である。 マガツの化石が現地で弔われるのもたいていこの時期であり、とくに祖先にマガツを出した家系のアラガミ師は、先祖供養を厳かに執り行い、神棚には正月よりも豪華な供物がささげられる。 四星祭 星覇王国で早春におこなわれる祭り。最初の女神「シセイ」「リダロット」をたたえ、全土で子作りをおこなう。踊りや歌、ご馳走の大盤振る舞いといった狂乱の宴が、およそ一週間にわたり続く。この祭りの最中は、旅行者すら見境なしに孕まされたり父親になったりしてしまうが、たいてい「ぶれいこうにゃ」の一言で済まされてしまう。星覇歴の正月におこなわれる祭事だが、星覇歴は気分により10日前後ずれるため、開催時期は毎年かなり変動する。初心者は参加しないほうがよい。この時期に王国に立ち入る外国人は少ないが、各地のネコ街の星覇もこの時期に発情するため、被害が生じることが多い。 覇龍祭 ハーリーさい。初夏におこなわれるガルナス・メイの一大行事。各牙洞院の教区ごとに、機刃衆がじまんの蘇龍機をもちより、「覇龍競争」、「覇龍演舞」や「覇龍武会」等、さまざまな蘇龍機どうしの戦いをくりひろげる。機刃衆や、ガーグ正教の流派によってその内容はさまざまで、荒っぽい覇龍演舞や武会(一種の戦技競技会)となると、実弾を使用し、死人がでることも珍しくない。国内外を問わず人気があり、央天青でもメイ居住区ではよく行われる。覇龍祭で優勝した蘇龍機の機刃守は、いちやく英雄として売り出されることも多く、ガーグ宗王国の重要な観光資源となっている。 リンジャミ祭 初夏におこなわれるカワアガニおよびウミアガニの祭り。央天青では喜如羅市で行われることが多い。元々は、遠洋型ウミアガニが、「陸神」に対して、恵み(陸上人類の死体等)を求める祭りであったとされる。航海の安全と豊漁を祈願する荒っぽい祭りで、洋上や河川で多くのアガニが集まって踊り狂ったり、格闘大会を開いたりするというもの。覇龍祭と同時期におこなわれ、内容も似ていることから、起源は同一だとする見解もある。各地から行商アガニが多く集まり、怪しげな出店、ファーグニル渡来の武器をあつかう闇商人、奴隷商人、強盗まがいの押し売りアガニなどが、市場を自然形成したりもする。田舎のリンジャミ祭では、食人が未だに行われている。そうしたリンジャミ祭はたいてい秘祭とされており、他種属や部外者が見聞することは、非常に危険である。 萌芽祭・夏 夏におこなわれるガルナス帝國の祭事。ダガンとメイが行う。もとは、かつての「ガーグ戦争」の風化を防ぐための慰霊祭としての意味合いが強かった。広大な屋外施設に、各地の貴族ダガンが、自慢の天魂株をもちより、天精花の品評会を行い、その栽培養育技術を競う。また、天魂や星覇に関係した手製の絵草子などの出店も多くみられる。最近では、アラガミ師などをネタとした同人絵草子を売る出店も増えてきており、各国から旅人が集う一大祭事となっている。この日は必ず晴れる。 天魔忌み 真夏の行事。この時期、共榮圏ではとくに三龍豪雨(スコール)が多くなる。日差しも強く、日中はあまりで歩かないのが普通。 古代の「大攻竜復活事件」の死者を悼み、戦死者などを弔う行事。しめやかに追悼儀式などが行われ、各地の軍部隊では、弔砲を放つ。この時期は、種属によって食べ物などに禁忌があるとされることが多い。地域によっては絶食を行う。この前後に、対天魔の軍事演習が多く行われる。地域によってはかなり儀礼化していることも多い。「浄闇主義者」の活動が活発化する危険な季節でもある。 盆チマー 「御霊迎え」ともいわれる、盛夏の一般的な祭り。各地のツカサ、家庭、軍駐屯地などで、先祖の霊を迎える「迎え火」をたき、戦死者や戦争の犠牲者をとむらい、感謝を捧げる。街々には祖先のごちそうがふるまわれ、「迎え踊り」とよばれる賑やかな踊りが夜を徹して行われる。数日間にわたる祭りの最後の日には、「送り火」をたいて、祖霊をミルヤカナヤ(死後の世界)へとお送りする。迎え火と送り火には、正式には少なくとも三人のテダ・ハベルのヤシャダマ火を用いるものと言い伝えられているが、シンテツや機刃衆の多い共同体では、うっとうしがって椰子油のふつうのかがり火で済ませることが多い。 盆供養の後は、数日にわたり、こどもたちの健やかな成長をいのる盂蘭盆(うらぼん)がおこなわれ、各町内で屋台が出されたり、子供むけの玩具が配られたりする。盆の祭りは、最初は三龍人やアラガミ師だけの風習だったが、いまでは共榮圏全土にひろまっている。 倒魚祭 阿星戦争の停戦記念日。星覇王国の祭りで、ご馳走を食べて愛しあう。また、この祭りの日、最初に出会ったアガニを殴り倒すと一年間、無病息災であるとされていて、各地で揉め事が絶えない。カワアガニは国家をもたないためか、この祭りはあまり意識しないようである。 イリダマチャー 「天魔忌み」とおなじ時期におこなわれる、テダ・ハベルの御祭り。ハベルたちが山野で賑やかにキャッキャッと群れ騒ぐ。他種族からは毎年白い目で見られている。 ヒレ送り トオミ属の祭事。中世「深海戦争」の戦死者を悼み、平和を祈念する静かな行事である。平和主義運動が多く行われ、タカ派のアラガミ師などとの対立が深まる時期でもある。 男子解放記念日 秋に行われる。常夏の共榮圏とはいえ、赤道から離れた海域では、この時期からは少し過ごしやすくなる。第192工廠の建国記念日だが、共榮圏の他国ではこう呼ばれる。シンテツ属の独立記念日であると同時に、男性の奴隷制度が廃止されたことを祝う行事でもある。シンテツ部隊が、各地で賑やかな式典を執り行う。 星クダリ 天魂の祭りであり、植物の霊に感謝する三龍帝國の収穫祭でもある。はるか昔、天魂が地上にやってきて農耕技術を伝授したことに感謝をささげる。主として農民の祭りだが、ガルナス帝國では全土をあげて盛り上がる。ファーグニル連合でも似た祭りがあるといわれるが、真相はさだかではない。 桃祭り 晩秋におこなわれるヌエビトとその鵺将の祭事。祖先と代々の鵺将に感謝をささげ、ふだんより多めかつ無意味に「完璧な奉仕」を行う。西桃海域の島嶼でさかんな祭りだが、央天青でもヌエビトが祝うことが多い。この時期は、あまりに「完璧な奉仕」を繰り返しすぎて、公衆の面前で恍惚とした表情で果てているヌエビトが多く見かけられ、秋の風物詩とされている。 実は、中世以前は、とあるヌエビト独立運動家を追悼する記念日だったが、ヌエビトが独立運動に無関心なため、その事実を覚えている者は一部の歴史研究家のみである。 龍王祭 古代の「第一次ファーグニル一斉侵攻」の戦死者を悼み、戦勝を祝う祭事。龍王教導院の結成記念日ともされている。多くの駐屯地では駐屯地祭を開き、シンテツ艦や各国海軍では観艦式や観竜式が行われる。 萌芽祭・冬 年末の祭り。夏のものよりもやや短いことが多い。
清水三毛 2006.12.22.
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