8-2.デ1000形(1000系)


     
1001〜1010(10両) 1965(昭和40)年10月〜1968(昭和43)年12月製造 
                            1995(平成7)年7月〜9月除籍


      

       1000系列の礎となったデ1000形。写真は同系列のみで組成された2連×2の4連
       (
1002-1001+1010-1009) パンタ4基を堂々と上げて走る姿は迫力があります。
       
神戸電鉄の車両では初の両開き扉に加え、直巻電動機による回生制動を採用しました。



    【概要】

       デ300形311〜に続いて新造された高性能車で、現在の1000系列の基本となった形式です。
       当初から輸送力増強を想定して空気制動にHSCを採用、客用扉も1400mmの両開き扉となって
       従来よりも通勤型車両らしい仕上がりとなっています。
       更新車デ800形807Fで採用された前面貫通路の種別・行先方向幕も本形式より正式採用となり、
       客室間の連結面は広幅貫通路となりました。
       性能面はデ300形とほぼ同様で、奇数車に設置された一台の制御装置で8台のモータを制御する
       1C8M方式となっています。

       

       鈴蘭台車庫で待機中の1008。振り上げた二丁パンタが誇らしいですね。


       

       製造直後のデ1000形1005-1006の活躍時の姿。有馬温泉行急行で50パーミルの坂に挑みます。
       1005F以降は混雑緩和の為、客用扉の吹寄部が広くなりました。
                                    (写真ご提供:松井 正史様)


       本形式最大の特徴は、直巻モータによる神戸電鉄初の回生制動を採用した点です。
       力行時にはモータ4個×2群を永久直列接続、回生制動時にはモータ8個を直列接続として電力回生を
       行う仕組となっており、離線防止対策として神戸寄Mc車に設置された二丁パンタが目立ちます。
       又、回生失効時には発電制動が作動しますが、この間約3.5〜4秒間空気制動がつなぎとして作動する
       仕組となっていたものの、当時は電力節減の効果が乏しかった事に加え、回生失効時の動揺が激しかった
       事から、ほどなく使用は中止されてしまいました。
       1000系列車両の運転台左側にある10点表示灯にも、現在のタイプに交換される旧型のタイプは
       「回生制動」の文字が残っていました。当時の名残ですね。

       台車は高性能車としては初めて川崎車両(現川崎重工)製を採用、本形式で採用された川崎-651形は
       以降の高性能車にも長年採用されました。
       パンタグラフは当初三菱製のS-752Aを使用していましたが、同社のパンタグラフ製造中止に伴い、
       他の1000系列と同様の東洋電機製PT-4209に交換されました。



      【その後の動向〜廃車まで】

       2連運用がなくなってからは1000系列同士の相互連結が可能な利点を生かし、デ1050形との
       3連組成から5連運用の増結車まで、その汎用性を存分に発揮していました。


        

       車体裾帯が入った1004-1003と、デ1050形1051で3連を組成した三田行の急行列車。
       旧塗装で車体裾帯の入ったデ1000形は1003Fの一編成のみでした。
       1984年2月、鈴蘭台付近での撮影です。


       

       列車無線設置の関係で、唯一有馬寄で先頭に立つ事のできる奇数車は1009号車のみでした。
       写真は鈴蘭台で発車を待つ、1009-1010+1062の三田行準急。1985年頃6月の姿です。
















 有馬寄の1009が先頭に立つ関係で、滅多に先頭部を
 見る事のできない1010号車。1984年9月の撮影です。
 この日はたまたま、鈴蘭台車庫の奥で編成を解かれて
 顔を出している様子を見る事ができました。
 パンタは既に東洋電機製のPT-4209に交換されて
 います。




















       

       鈴蘭台車庫の1003Fを有馬寄から見る。他形式との連結に備えて貫通ホロが設置された姿は
       ちょっと印象が変わりますね。


       

       新塗装化された1001Fが、丸山の坂を下ってきました。1989年10月の撮影です。
       この年から登場した「JOYFUL ARIMA」の大きなヘッドマークが誇らしげです。


       

       晩年のデ1000形は5連運用の増結車や2連+2連の4連で活躍する事が多く、回生制動の使用中止で
       必要性の薄れた自慢の二丁パンタも、有馬寄を畳んだまま運転されていました。


       個人的な思い出ですが・・・
       阪神大震災から復帰を果たし、全線開通後の長田駅でカメラを向けた車両が1008Fの4連でした。






















仮の終着駅として大役を果たした長田駅。
渡り線撤去跡を新開地へ向けて走ってゆく
1008Fの姿を見た時は、思わず胸が熱く
なったものでした。
















       

       廃車直前の1004-1003+1010-1009。
       次世代へのバトンを託す相手は、同じ回生車の5000系。奇遇な縁を感じます。

       デ1000形は震災からの復興を見届けたかの様に、全線開通後の7月に1005Fを除く8両が
       廃車となり、残った最後の1005Fも二代目の回生車5000系第三〜第五編成に使命を託しつつ、
       デ1050形2両(1051・1052)と共に同年9月に廃車され、姿を消しました。



(2012.01.22 内容一部更新)


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