船舶用V型スチームエンジン搭載

2軸クライマックスロコ

"L'ESCROC"

Two Axles Climax Loco with Two Cylinder V Marine Engine "L'ESCROC"


やっぱり、教材ライブスチームキットを改造したドコービルタイプやガラスフラスコのオブジェ風エンジンでは満足できません。

しかし、ラウンドハウスの完成品やキットはとても手が出せませんし、アキュクラフトのRUBYならなんとか、とも考えましたが、どうも食指が動きません。

ということで、どうせなら曲がりなりにもオリジナルのロコを、と部品をかき集めて怪しげな機関車をでっちあげることにしました。

もちろん、スチームエンジンを一から自作するなんて技術も気力もありませんので、エンジンは完成品を利用することにしますが、秘蔵のSAITO 2シリンダエンジンにはボイラーがありません。純正品のボイラーはとても高価ですし、自分でつくる技量もなく、計画は挫折しかけました。

ところが偶然、ネットでエンジンとボイラーのセットを発見。その価格に少々悩みましたが、とうとう注文ボタンを押してしまいました。購入したのは、Wilesco社の船舶用V型スチームエンジンとボイラーのセット、2 Cylinder V Marine Steam Engine D 49。これを使ったデザインを考えることにしました。

下回りは最初、LGBの車輪を使って自作するつもりでしたが、軸受けやそれらしいディーテイルをつくるのが面倒で、結局Bachmann製のBobber Caboose下回りを流用することに決定。

早速ネットでオーダーして、ここまでは良かったのですが、例によって例のごとく、2ヶ月後に船便で荷物が届いた頃にはすっかり熱が冷めてしまっていて、それっきり。部屋の隅にころがった箱を横目で見ながら約半年がすぎました。

それでもその間に、思い起こしたようにデザインをスケッチしてみたり、オペレータとして乗せる人形を見つけて買ってみたり、けっこう楽しんでいたように思います。

しばらく手を動かして工作していなかったので、毎回作業にとりかかるまでに時間がかかるのに往生しましたが、いざ手をつけたら、意外に早く工作が進みました。

まずは、Bobber Cabooseの下回りに5ミリ厚のベニヤでつくった床板をつけてフラットカーにします。床板には100円ショップで買った工作用ニスを塗って完成。

上回りは別に床土台となる厚板を履かせ、稲城庭園線のストラクチャーとして使うことにします。

フラットカーの上に置いたエンジンユニットのプーリーから床下のドライブシャフトにはベルトで伝導するので、床板に孔を開けます。エンジンユニットのフレームにも、カッティングディスクでベルトを通す孔を開け、エポキシで固定用のバーを接着しました。

車輪を分解して車軸の真ん中に白い汎用ナイロンギヤを組み込み、これとウオームがうまく噛み合うように床下にドライブシャフトを設置しました。ドライブシャフトのフレームは発泡塩ビ、軸受けは適当に挽き出した真鍮製、シャフトは2ミリのピアノ線です。プーリーはタミヤの工作シリーズのものを使いました。

ベルトは、ハンズで買ったウレタンゴムコードです。瞬間接着剤で切り口を接着しました。

車輪の横動が大きいので、ダミーの軸受けの裏にプラ板を貼り付けて制限しています。

ボイラーとエンジンをねじ止めで固定し、付属の真鍮パイプで配管。パイプがかなり細いのでちゃんと動くかちょっと心配です。

最後に、3ミリ真鍮線でつくった手すりをとりつけ、オペレータの人形を乗せました。オペレータは、ミラー・ミスター・スポック。手すりをにぎらせ、かかとをビス止めして固定しています。

これで、完成。

なかなか怪しい雰囲気で、とても気に入っています。

せっかくですから、名前を付けることにしました。いろいろ考えた末、L’ESCROCと命名。フランス語で「ペテン師」という意味です。

外注した真鍮板エッチングの銘板をボイラーに貼付け、人形に付属していたスタートレックのエンブレムをボイラーに飾ったらがぜんかっこよくなって大満足です。




初運転は自宅の庭園線で試みました。

ボイラーの容量が大きいので、固形燃料ではなかなか沸騰しません。すこし水を抜いてやっとまともに蒸気が上がるようになりました。

最初はエンジンが冷えているので、排気口からは油まじりのお湯が噴出するばかりなのにはちょっと閉口しましたが、ゆっくりゆっくり動き出したときは、やっぱり思わず頬がゆるんでしまいました。

既製品やキットとは性能はまったくちがうでしょう。なんとかやっと走ると言った方がいいくらいかもしれません。でもこうやって自分で企画して組上げたライブスチームが実際に動くのは、とてもうれしく感じます。家族もおもしろがってみてくれて、ひさしぶりに楽しい気持ちになりました。

そのうちに、アルコールバーナーをつくってやろうと思います。そうしたらもうすこし力強く走ってくれるでしょう。そのためには銀ロー付けの道具を揃えないといけません。さて、いつになることやら。


2008年12月29日 (月) 追記

L'ECROC 快走

夏頃、たまたま入った模型店で、ラジコン用の部品売り場でベベルギヤを見つけました。

しめた!これで汎用プラウオームホイールを使ったためにやたら速度が遅く、不満がたまっていた懸案の自作ライブスチーム、L'ESCROCのギヤ比をなんとか出来る!とさっそく加工にかかったのですが・・・

前途多難です。まずはギヤの太鼓型のシャフト穴を円形にする事からはじめて、車軸の径を削って細くし、なんとか取り付けましたが、ここで気力が切れました。

ドライブシャフト側の小径ベベルもブッシュを噛ませないと取り付けられませんし・・・やめときゃよかったかなー。

まあ、ゆっくりと工作を楽しむ事にします。なんといっても、大モジュールの金属製ベベルギヤってとっても機械ぽくって、見てるだけでうれしくなりますもんね。

と、ほったらかして約半年、年末休みにやっと工作再開しました。

で、換装完了してみての感想は、軸穴を加工すること以外は実に単純で簡単な工作なのに、なんで今までほっといたのかというくらいの工作でした。

もっとも、その場限りのやっつけですから、精度や耐久性など端っからほとんどなきに等しい工作ではありますが。

つまり、軸穴をプラモデルのランナーで埋めて穴を小さくあけ直した小径ベベルを、短くしたドライブシャフトの両端にたたきこみ、位置が変わったシャフトのベアリングを支えるステイをつくりなおして出来上がり。ステイの材料は発泡塩ビですから工作は簡単です。

モノがでかいし、とにかく動きゃいいとわりきっているので、精度は二の次。ほとんど目分量の世界です。こんな工作でもエンジンにパワーが有り余っているので十分余裕で動くはず、とタカをくくっています。

でもこれでギヤ比が改善されて、かなりの速度が出るようになったはずです。ついでに、細い配管にも凧糸を巻いて、ちょっとでも熱の損失を防ぐ事にしました。

翌日、天気もよかったので、さっそく運転してみました。

先ずはローラー台の上で記念撮影。煙突はチューブに差し替えて瓶のなかにドレインを導くようにしてあります。


ボイラの容量が大きいので少しだけ水を入れて、固形アルコール燃料スイスメタに火をつけましたが、時間のかかる事。このスイスメタ、学生時代に登山用に手に入れたもので、かれこれ30年ちかくもたちますから、火力が落ちているのでしょうか?

ようやく逆転バルブのあたりから蒸気が漏れるようになってきたのをみはからい、バルブを開いたら調子良くエンジンが動いてくれました。

気を良くして、ドレインチューブを煙突に差し替えて線路の上へ。バルブを開いたら煙突から油まじりの熱湯と蒸気をまき散らしながら元気よく走り出してくれました。

水平な場所ではギヤ比もちょうど良いくらいのように思えましたが、カーブやすこし傾斜があるところに来ると、急に速度が落ちてしまいます。固形アルコールの熱量ではやはり蒸気の圧力が足りません。それにしても、カーブの走行抵抗は思いのほか大きいのですね。

燃料を継ぎ足し継ぎ足し、レイアウトを10周くらいはしたでしょうか。やっぱり火力の強いアルコールバーナーなどをつくってやらないと、安全弁から蒸気が吹き上がるくらいの勢いで運転する事は難しい様です。

それでもしっかりビデオも撮影できましたし、ひさかたぶりにたのしいひとときを過ごす事ができました。



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(c) Shozo Kitamura 2006