司法書士 達富慎也 事務所 本文へジャンプ
民事事件 ‐ 少額訴訟


少額訴訟トラブルケース
1 日常生活でのトラブル
日常生活の中でしばしば出くわす金銭消費貸借問題、企業やサービスの対応の問題、小さな事故等、生きている以上トラブルを完全に無くすことは難しいといわざるを得ません。
でも、大切なのはこうした問題をいかにスムーズに解決できるか否かです。
迅速に和解点を探る「少額訴訟手続」はそのための賢い知恵であり、以下のようなケースは、少額訴訟に向いているといえます。
@ 貸したお金を返してくれない
友人に頼まれて50万円を貸しました。
3ヵ月後に必ず返すという約束で、借用書も書いてもらいましたが1年経っても返してくれません。
返すように言っても「今は無理」というばかり。返す気がないとしか思えません。
解決へのアドバイス
「何月何日までに支払う」という約束を守らず、何度請求しても返済してくれないようなら、少額訴訟手続で決着をつけてみてはどうでしょうか。
借用書もあり、友人がお金を借りたことを認めているのであれば、明らかにあなたに有利ですから、通常の訴訟より簡易・迅速に解決できる少額訴訟が向いているといえます。
A 子供にドアミラーを壊された
駐車場に止めていた車に小学生の子供が自転車でぶつかりドアミラーを壊されました。
相手に修理のことを話すと「子供がやったことだから」と取り合ってもらえません。
解決へのアドバイス
子供の過失だからとめをつぶるのか、責任をきちんと負ってもらうかはあなたの判断次第です。
子供による被害でも実損があった場合、原則として親に損害金を支払ってもらうことができます。
「過失は認めるが、子供がやったことだから」と相手が納得しない場合は、少額訴訟で争ってみても良いでしょう。
過失が相手方にあるのは明らかですから、修理代の多くは取り戻せるはずです。
B 追突された
交差点で信号待ちをしていたところ、後ろから来た車に追突され、車の後部が大きく破損しました。
その修理費用に25万円、1週間の修理期間中の代車費用に5万円、合計30万円を要しました。
そこで、相手方に30万円の支払いを請求しましたが、全く支払ってもらえません。
解決へのアドバイス
交通事故による損害賠償請求事件で争いとなるものに過失割合がありますが、あなたの場合、停止時の追突ですから、通常、過失割合は0:100で相手方に非があることになります。
そのような場合であれば、少額訴訟で簡易・迅速に解決を目指しても良いでしょう。
ただし、相手方に請求できる損害額は、修理費の場合は、事故当時の車の時価と修理代を比較して安い方の金額ですので、修理費用の全額が請求できるわけではありません。
また、代車費用については認められない場合もあり、認められる場合でも、あくまで自分の車と同等の車の代車費用であることに注意が必要です。
C パソコン教室を中途解約したい
パソコン教室の1年コースの受講を申し込み、受講料年48万円を前払いしました。
しかし、教え方が不親切なので、2ヶ月経って中途解約をしたところ、あなたの勝手でやめたのだから受講料は返還しないといわれました。
解決へのアドバイス
本件の契約が、特定商取引法適用を受けるものであれば、同法の規定により、パソコン教室やエステなどの特定継続的役務提供契約については中途解約が認められ、しかも事業者側が請求できる損害賠償額も制限されています。
特定商取引法の適用を受けるケースであれば、あなたが支払うべき金額は、既に受講した分の受講料(2ヶ月分8万円)+@5万円もしくはA契約残高の20%(@Aのいずれか低い額)になります。
契約残高の20%は、(48万円−8万円)×20%=8万円ですから、あなたが支払わなければならない金額は13万円ということになり、残りの35万円については返してもらうこともできます。
D 大事な植木を切られた
隣人とちょっとしたトラブルがあり、その腹いせかどうか、酔っ払った隣人が私の家の庭に勝手に入り込み、大事にしていた植木を手当たり次第に切ってしまいました。
造園業者に見積もりをしてもらったところ、50万円の損害になるとのことです。
隣人は、警察に捕まったことで済んでいると思っているようです。
私としては、大事にしていた植木を切られたので、その損害50万円と慰謝料10万円の合わせて60万円を請求したいと考えています。
解決へのアドバイス
相手方の故意・過失行為により損害を受けた場合は、一定の要件を満たせば、その相手方(加害者)に損害賠償請求をすることができます。
ただし、いくら大事にしていた植木でも、法律の世界では、単に「物」ですので、「物」を壊された慰謝料は一般的には認められていません。
したがって、この場合は、損害額50万円の請求として少額訴訟で解決してはどうでしょうか。
このページのトップへ
2 仕事でのトラブル
労使関係で生じる問題から、サービスや品物の代金回収の問題まで、仕事上のトラブルは増加の傾向にあります。
これまでは裁判に持ち込むといっても、金額によって費用や時間のデメリットのある場合が多かったのですが、少額訴訟手続なら負担も僅かで迅速ですから、支払われない賃金や代金の回収に大いに役立ちます。
@ 売買代金を払ってくれない
A社にノートパソコン2台を42万円で売りました。
代金は翌月末日の一括払いという約束でしたが、期限が来ても支払ってもらえません。
いつ支払えるのか聞いても「来月にはなんとか」の繰り返し。
このまま支払いに応じてくれないと困るので何とかしたいのです。
売買契約書を取り交わしていませんが、裁判を起こして勝てるでしょうか。
解決へのアドバイス
A社に全く誠意が見られない場合は、配達証明付内容証明郵便で期限を区切って催促し、それでも支払ってくれなければ少額訴訟を利用すると良いでしょう。
売買契約書がなかったとしても、納品書や請求書、配達証明書付内容証明郵便などを集めれば、有力な証拠になります。
A 請負代金を払ってくれない
お客さんから瓦の葺き替えを頼まれ、工事をしましたが、その代金60万円を支払ってもらえません。
催促してもまったく無視。
いっそ瓦を引き剥がして持って帰ろうかとも考えているのですが。
解決へのアドバイス
いくら相手が支払ってくれないからといって、瓦を引き剥がして持って帰ること等、自力救済は認められません。
この場合も、少額訴訟を利用してみると良いでしょう。
ただし、@請負工事の契約書か、契約書がない場合は見積書等で請負契約が成立したこと、工事が完了したこと、A工事が完了したこと、B目的物を引き渡したことを主張・立証する必要があります。
なお、このような工事は特定商取引法の指定役務であり、同法の訪問販売や電話勧誘販売に該当する場合は、クーリング・オフされることがありますので注意が必要です。
B アルバイト代を払ってくれない
時給800円のアルバイトをしてアルバイト代が15万円になりましたが、会社は5万円支払ったのみで、残金は、連絡をしても居留守を使ったりして取り合ってもらえません。
訴訟をしたらお金を払ってもらえるでしょうか。
解決へのアドバイス
会社との契約による時給や実際に勤務した時間、日数等であなたのアルバイト代が15万円になったという証明ができるときは少額訴訟手続で残金10万円を支払ってもらえる可能性は大です。
ただし、会社が倒産してしまった場合は、訴訟で請求権が認められても、実際にお金を回収することは難しいでしょう。
このページのトップへ
3 住居のトラブル
快適な暮らしはみんなの願いですが、住まいとその周辺は人と人の様々な利害が入り混じる場でもあり、不動産の賃貸借、設備の欠陥、騒音にからむ問題等、トラブルの原因が非常に多い場面ですが、少額訴訟手続で解決できる場合もあります。
@ 敷金を返してくれない
賃貸マンションに2年間住み、この度、引っ越すことになりました。
大家さんには敷金として40万円を預けていますが、部屋を明け渡して1カ月以上も経つのに未だに返してくれません。
掛け合うと、畳の表替えの費用やクロスの張替費用にほぼ同額の費用がかかったので、返還すべき敷金はないという返事です。
本当に敷金は返ってこないのでしょうか。
解決へのアドバイス
まず、賃貸契約書を確認しましょう。原状回復費用について、具体的に細かく特約が定められていませんか。
特約がなければ、通常使用に伴う汚損や破損についての修理費用等は賃貸人(大家さん)の負担です。
賃借人(借主)は、故意・過失に基づく汚損や破損についてのみ責任を負います。
原状回復費用について特約がある場合でも、その特約が賃借人にとって著しく不利な場合は、特約自体が無効なものと考えることができますので、敷金が返ってくる場合もあります。
A 敷金が戻ってこない(大家が替わった場合)
近々引っ越しを考えているので、今の大家さんに敷金40万円はいつ頃返してもらえるのか聞いたところ、前の大家さんから引き継いでいないので支払えないと言われました。
契約書には敷金返還のことがはっきりと書いてあるのにどうすれば良いですか。
解決へのアドバイス
本来、敷金を返還する義務を負うのは敷金を所有している人というのが原則です。
この場合、敷金返還義務を負っているのは前の大家さんですが、既にその建物の所有者でない人を探して敷金の返還を求めることは困難なものです。
ただし、所有権の移転は家を借りている人の知らないところで行われるのが通常であり、これではあなたのように借り手に不利益をもたらすケースが考えられるので、過去には「現在の所有者に対しても敷金を請求できる」とした判例も出されていますから、今の大家さんに対する少額訴訟手続によって解決することも可能でしょう。
B 家賃を滞納されている
アパートを経営していますが、賃借人の一人が家賃を5ヶ月分、合計40万円滞納しています。
いくら催促しても「払いますからもうちょっと待って」と言うばかり。
長い付き合いなので、部屋を明け渡してもらうことまでは考えていませんが、滞納家賃を取り立てることができないでしょうか。
解決へのアドバイス
部屋の明け渡しと同時に滞納家賃を請求する場合は、少額訴訟を利用することはできませんが、滞納家賃の請求だけなら、少額訴訟で相手方を訴えることができます。
相手方に誠意が見られないようなら、少額訴訟を利用してみたらどうでしょう。
C 修繕代を払って欲しい
上の階の人の洗濯機のホースが外れて水漏れをし、天井や壁に染みがつき、洗面所や廊下が水浸しになってしまいました。
壁や廊下の修復にかかった費用を弁償して欲しいのですが、上の人は謝るばかりで被害を償おうとはしません。
解決へのアドバイス
上の階の人が賃借人で、洗濯機の排水が十分でなく、大家さんにその修繕を依頼していた場合は、大家さんが損害賠償義務を負います。
しかし、水漏れが明らかに上の階の人の過失によるものであれば、その修復のためにかかった費用は上の階の人が賠償する義務を負います。
それにもかかわらず支払いを拒否する場合は、少額訴訟手続で速やかに解決するのも賢明な方法です。


  このページのトップへ