会場からの質問・意見(抜粋)「商業的なものに切りかえていくとなると、小林さんだったら音楽をつけないなどといった、自分のスタイルを崩 さないといけないことが出てくるんじゃないかと思いました。」






 


 

   





















自分の問題として抱えているものがなんなのか、明確には言えないんですけれども、漠然と何かある
。そこに向けて作品を作る。たとえば、ジャンク屋で拾った監視カメラは道具としてあると思うんで
す。スタイルと技法と言うのは、口説くため、説得するためのテクニック。その位のものにしか僕は
思っていない。もし、映画という条件の中で自分がやろうとすることが可能であれば、それはそれで
面白そうだと思います。

じゃあ、今の小林さんの目的、っていうのは何なんですか?作品を作る目的は?

お金も嫌いではないですが、もしそれを考えていたらアートやらないですよね。お金が目的なら、作
品よりも良い手段があると思う。たまたま違う事に興味がいってしまった。たとえば、河原に行った
ときに石が落ちていたんです。石と言うよりも小さい岩なんですけれども、それに穴が「ぽこっ」て
空いていて、その中にまた小さい石が入っていた。その石がなんなのかを知っている人に教えてもら
ったら、たまたまその時は河原の水の量が多くないので河原まで歩けたが、もう少し水かさがある時
には、岩の上に水が流れている。その水が通った時に、穴の中の小石がクルクルと回転するらしいん
ですよ。そうすると、どんどんお互いに擦り合いながら穴を掘っていく。おそらく、そのうちに中に
ある小さい石が無くなってしまうのでしょう。その存在の仕方がとても魅力的で、こんなの作りたい
と思ったんです。それとお金ってなかなか結びつかないと思いました。そういう存在ってなんなのか
な、というのがつきまとっている。その石の存在が魅力的です。

そういう現象が面白いとするならば、それが起きた原因を究明するために自然科学者になる、ってい
う方法がありますよね。そしてそれを選択しないとしたら、もうひとつはアーティストになるしかな
いじゃないですか。たとえば、それにお話を付けていけば「物語」が書けるかも知れないけれど、そ
うではなくて純粋に自然のなかにある構造にひそむ抽象的な原理を表現(=表象)しながらご飯が食
べられる仕事といったら、アーティストしかないですよね。

じゃあ、かなりベストな選択だった。

僕はそう思いましたけどね。何とかなりますよ。あとは世智です(笑)

会場の方々に、「小林さんの作品を1作品上映権なしでいくらで買うか?(DVDかビデオテープで)」という質問をしました。(抜粋)


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2980円くらい。でもアートビデオとかの相場がよくわからないので、そういうものは高く売って
なんぼという感覚があります。アートギャラリーに行くと、やたら高い値段で売っている。でも3本
くらい入っていてそれくらいなら。

テープに3分がちょこっと入っていたら、かなり損した気分になりますよね。

でも、パッケージにもよります。ただDVDーRに焼かれていたら、それまでの価値は払わないかも
れない。けれど、ちゃんとしたパッケージに入っているのだったら、それくらい出してもいいかな
と。私もパッケージングのことに興味があるので、それにおまけが付いているとか、いろいろと姑
息な手段もあると思う。

講売意欲をそそるように考えてみます。今メディアも100円いかないくらい安いですものね。な
んですかね、情報の価値って。

なんですかね。我々は情報の量が「何ビット」と言いますが何でしょう。本当にそう思います。

DVDとかビデオとかではなくて、携帯の待ち受けや、スクリーンセイバーみたいなものだったら良
い。最初に見たとき、スクリーンセイバーだと思ったんです。(笑) そういうのだったら、200
円とか300円くらい出せば、たくさんの人に買われると思う。

ぼろ儲けですね。(笑)

アートの需要として聞いているのですが、ビジネスモデルとしてはそういうものの方が現実的であ
るということもよくわかりますね。

自分が所有するんだったら、コピー。

ふつう、コピーは「所有」って言わないだろう。みんなユニークだな、やっぱり。





 
    会場風景





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お金があって美術が好きなら、いくらでも出すんじゃないですかね。

うん。それはそうだ。コピーと「所有」は違うと思うけどそれは置くとして、コピーしてタダ同然
で手に入れたとしても、それが占有する空間の問題があって、東京などに住んでいる以上、それは
お前の部屋が狭いからだ、と言われればそれまでだけど、タダ同然のものだったら、あんまり持
ちたくなくなるんじゃないかな。でも、ブロードバンドがこれだけが普及しちゃうと変わって来る
のでは? 向こう側のサーバーがもってて、こちら側は持っていない、ただスクリーンの上に引っ
ぱり出すって言う事になるから。携帯の待ち受けも、そういう側面がもう出始めているのかも知れ
ないけど。そうするとまた概念が違ってくるのではないかな。

私は、もし作家利益になるんだったら、資料として持っていたいので動画ではなく、コピーでいい。

あなたは研究者タイプですね。さて、小林さんは、今日帰ってからものすごく考えると思うよ。(笑)

ちょっとへこむかな。

完全にアートという制度化された中では、こういうぶっちゃけた話出てこないから、おもしろいと
思いますよ。

おもしろいですね。いろいろ考えちゃいますね。

おもしろいですね。考えちゃうでしょう、作家としては。

もっと、アウラと言うか、神秘的な儀式みたいにして、、、(笑)
でも、みんな、言っていることの方向がバラバラですね。
たとえば、日本でも床の間に絵を飾る習慣があって、それを季節毎に替えたりします。映画や絵
画のポスターや、ポストカードは、家に飾りたいと思う。けれど、映像はまだそう風にならない。
映像と言われると、じっと見ていなくてはいけないと思ってしまう。それは時間軸があるからか
もしれませんが、流しっぱなしで、そこになんとなくあっても良い。絵画もじっと見るわけでは
なく、壁に飾られていてなんとなく嬉しいもので、映像作品だってそういう形になってもいいじゃ
ないか、という気持ちはすごくあります。

それでは、最後に感想をいただいて終わりたいと思います。

そうですね。へこみました。(笑)こういう場で喋るのはあまりないので、面白かったです。現
実ってシビアだな。また課題がいっぱい増えました。

今日はどうもありがとうございました。







unlike water ウェブサイトのarchiveページでは、作家の作品画像、レクチャー風景、レクチャーの一部抜粋を掲載しています。 (2004年11月1日  記録時間2時間32分)



こ 小林耕平 
の 野々村文宏
ま 松澤優理子
  

数字〈1.2.3〉  質問者
 



第一回unlikewater 小林耕平
2004/11/1 
和光大学D112教室にて収録