【独鈷杵】

【独鈷杵】
名称・読み方
「トコショ」「ドッコショ」「トッコショ」「ドクコショ」と実にさまざま。
(名古屋方面の方言で「トッコー」と呼ぶとこもあるそうです。:どすこい様情報)

東密では宗派により読み方が分かれるようで、
西大寺流及び古風には「トクコショ」、
高野流・広沢流
では「トコショ」と読むそうです。(台密はわかりません)
ちなみにIME(?)では「トッコ(独鈷)ショ(杵)」で変換できます。

当サイトでは「独鈷杵」の読み方を「
トコショ」と統一します。
ゆえに当サイト名は「独鈷まにあ:
トコマニ」でお願いします。

「コ」の表記もさまざまで「股」「月古」(月に古で一文字)「古」などなど。《本来は「股」と書くようです》
また「一股杵(イッコショ:イチコショ)」「一股跋折羅(イッコバザラ:イチコバザラ)」と呼ぶのが正式で、
普段呼び習わしている「独股(鈷)杵」はこれの略になります。
※「密教大辞典」には逆に獨股杵の異名とある。

・意味
金剛杵(コンゴウショ)という密教の法具のひとつで独鈷杵は金剛杵の基本形。

もともと武器であったものに様々な意味合いをもたせ、諸尊の三昧耶形にまで昇華。
よくいわれるところに、武器としての破壊(摧破)の面と金剛石(ダイヤモンド)の堅固さという面を
「障害である煩悩を摧破する」「仏の智恵が揺ぎなく堅固である」ととらえ、この2面性を象徴する法具となりました。

独鈷杵の意味としては独一法界、精進勇猛、摧破の各義を表します。

また金剛杵全てにおいてと思いますが”菩提心”も表します。
金剛不壊の菩提心によって成道をはたすわけです。
【独鈷杵:鈷部】
各名称は両端(鈷)が一つの物を「独鈷杵」。三つあれば「三鈷杵」。五つ出ていれば「五鈷杵」。
建物の形をしていれば「塔杵(塔婆杵:トウバショ)」。宝珠がついていれば「宝珠杵」。
他に九鈷杵、九頭龍杵(九鈷亜種)、蓮華杵、人形杵(割五鈷:五鈷杵亜種)などがあります。
(独鈷、三鈷、五鈷、塔、宝珠までを五種杵といい、特に尊重します。)
【三鈷杵 【五鈷杵:鈷部】
手で握るところ「把(ツカ)」に蓮弁飾(蓮弁帯)があり、紐(チュウ)があり、また蓮弁飾がきて、
真ん中の丸い模様になりますが、この丸い模様を「
鬼目(キモク)」といいます。

【蓮弁帯・紐・蓮弁帯・鬼目・蓮弁帯・紐・蓮弁帯】
ここが人面(神面?・鬼面?)の物を「
鬼面杵」といいます。独鈷であれば「鬼面独鈷杵」
三鈷であれば「鬼面三鈷杵」などと呼称します。
【鬼面】
形状として、現在の主流は鈷の下側がほとんど匙面をとります。

そのほかにも、六角形や八角形のものがあり、その一面一面が凹んで匙面に加工されている独鈷杵もあります。

年代的な特徴として、日本では鎌倉時代前後頃より、独鈷杵の"鈷"の長さが変わってきます。
比較として古式には鈷が把より長いものが多く、近世式には逆に鈷と把が同等もしくは把が長いものが増えてきます。
(一概にはいえませんが)
比較の例としてもう一つ、鈷部の鋭さがあります。
鈷の先端が鋭く鋭角になっているものから平安後期以降だんだんと先端が丸みをおびてきます。


古式の鈷の鋭いものを「忿怒股」、最近のように丸みを帯びたものを「普通股」と称します。

使用法
主に護摩法にて炉や供物を加持するときに使用されます。
護摩法の場合は魔除け的な意味合いがあり、『蘇悉地経・持真言法品』には「護摩を作さん時、及び念誦の時には
掌に左手をもって執持せよ。能く諸事を成ずるが故に杵と号す。之善成就の者なり。もし常にこの金剛杵(三鈷杵)
を持する者は一切の毘那夜迦、障難をなす者は、悉く皆恐怖し馳散して去る。」とあります。
経典上にそうあっても、独鈷杵をもつ流派、持たない流派もあります。
また、広沢系統の流派には当持物としてあげられています。
本来武器であるので右手で持つのが普通であるが、流派により左で持つこともある。

※〜以下脚注〜※

【東密・台密】
真言宗の密教と天台宗の密教を区別するときの呼称。天台宗がその一字をとって《台密》と略したのにたいして、
東密とは真言宗根本道場である京都の東寺から取られた。

【真言宗諸派】
真言宗は大きく《小野流》《広沢流》の2つの流派に分けられる。

《小野流》は聖宝(ショウボウ:理源大師)が始祖であることからわかるように民間仏法の傾向がつよい。(当山派修験の祖)
小野とは京都山科の地名。口伝口訣を重んじる。

《広沢流》は益信(ヤクシン:本覚大師)の流祖で広沢池の南畔に建てられた遍照寺の地名より広沢と名づく。
宮中に関係が深く、儀軌を重んじる傾向にある。

小野六流、広沢六流で野沢根本十二流という。

小野 ― 三宝院流・金剛王院流・理性院流・勧修寺流・隨心院流・安祥寺流
広沢 ― 西ノ院流・華蔵院流・保壽院流・忍辱山流・仁和寺流・大伝法院流

この他、三十六流・七十余派など多数の流派が存在しているが、教義的な違いはほとんどなく、多くは細々とした
所作の違いだったりする。また長い年月の間に他の流派に取り込まれたものもある。


《西大寺流》
三宝院流の支流で西大寺を本拠としている。:西大寺菩薩流:奈良の西大寺は真言律宗

《高野流》
現在高野流という呼び名はなく、高野山中院流のことと思われる。
(その昔には高野山の寺院にはそれぞれの流派があり、その総称ではなかろうか?)


【三昧耶形】
諸尊の内証を印や持ち物で表したもの。
平等・本誓・除障・驚覚の4つの義がある。


【独一法界】
法についていえば阿字本不生の一心法界
人についていえば本地法身毘慮遮那如来をいうとある

【菩提心】
最上の仏の悟りを求める心

【匙面】

面が「】」のように丸く凹んでいるものをいいます。