何故?沈黙?!

     (今日はさー、自転車に3回ぶつかっちゃってさー…)と
     その日のことを電話でそのまま話しました。
     犬も歩けば…で外に出ればこれは当たり前のことなので
     私は、視覚障害の友達に普通に話すように、言いました。
     もともと口数の少ない方のその人は一瞬黙ってしまいました。
     私がもう今では、白杖無しで歩けないことをその人は十分
     知っているはずなのに。
     長い間会っ ていないので(自転車にぶつかった)という言葉に
     きっと驚いたのだと思います。
     私がその人に初めて会った頃、私は、若くて白杖無しで歩行が
     出来ました。走り回っていました。
     その私が自転車にぶつかってしまうくらい見えなくなったなんて
     そこまで視力が落ちたなんて、きっと突然聞いて
     びっくりしたのでしょう。それで次の言葉が出なかったのでしょう?
     私は、慌てました。
     (でもね、どこもけがしなかったよ)と明るさをプラスして
     急いで言いました。
     失明した人、視力が下がった人の話なんて職業柄珍しくもないはずなのに。
     どうして黙り込んでしまったのか、
     どんな風に白杖を使っていたのかと何故?突っ込みを入れて
     来なかったのか?
     それを期待していた私は、なんとも言えない寂しい気持ちになりました。
     私は、あの頃のままじゃないけれど、気持ちだけはあの頃の
     ままのつもりでいるのに。